5システマティックレビューの考察・まとめ(1)益 G‒CSFの二次予防投与において,最も重要度の高いアウトカムと設定したOSは,延長が示唆されたが,コホート研究1編のみによる評価であり,エビデンスの強さはC(弱)とした。一方で,FN発症率とRDIについては,エビデンスの強さB(中)で,有益であることが示唆された。感染による死亡率とQOLに関する研究は抽出されず,評価不能であった。(2)害 疼痛について評価されたコホート研究1編が存在したが,この試験では,G‒CSFの一次予防投与や治療投与の症例も含まれた解析であり,エビデンスの強さはD(非常に弱い)であった。(3)患者の価値観・好み 患者の価値観・好みについて,エビデンスに基づく評価はできていないが,FN発症率を低減させるなどの望ましい効果や,疼痛などの望ましくない効果の受け止め方にはばらつきがあり得ることを考慮した。(4)コスト・資源 コスト・資源について,エビデンスに基づく評価はできていないが,G‒CSF使用によってコストがかかることを考慮し,G‒CSF使用によって得られる益が,コストや資源に見合ったものであるかどうかも含めて検討した。(5)まとめ G‒CSFの二次予防投与は,益の指標として設定した生存の改善を示す弱いエビデンス,FN発症の減少,RDIの改善を示す中等度のエビデンスが存在した。害の指標として設定した疼痛について,関連性は限定的であった。そのため,G‒CSFの二次予防投与は,益が害を上回ると考えられた。ただし,今回抽出されたほとんどの研究の対象は,早期乳がんなど,治癒を含む十分な効果を目的としてRDIを下げない方がよいと考えられる疾患であった。そのため,これらの疾患に限定してG‒CSFの二次予防投与を弱く推奨するとした。156 Ⅵ.その他エビデンスの強さB(中)益(6)相対用量強度(RDI) RDIについてはRCT 1編5),コホート研究4編4,8‒10)で評価されていた。乳がん患者を対象としたRCT5)では,85%以上のRDIを保てなかった率はG‒CSF二次予防投与群200例中100例(50.0%),対照群201例中151例(75.1%)であり,G‒CSF二次予防投与群で有意にRDI(85%以上)が保たれる結果であった[OR 3.02(95%CI:1.98‒4.61)]。6推奨決定会議における協議と投票の結果 推奨決定会議に参加したワーキンググループ委員は23名(医師21名,看護師1名,薬剤師1名)で
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