その他(4)生活の質(QOL) 決定分析を使用してquality‒adjusted life year(QALY)を評価した研究が1編存在した14)。ただし,この研究は仮想症例におけるモデル分析であり,実際の症例のQOLを収集して評価したものではなかったため,本CQの評価対象外とした。(5)疼痛 疼痛は,コホート研究1編11)で評価されていた。研究コホート1,473例中83例(5.6%)で筋骨格系の疼痛が認められていたが,本コホートにはG‒CSFの二次予防投与だけでなく,一次予防投与,治療投与も含まれており,かつ比較対象がないことから,評価は困難であった。4アウトカムごとのシステマティックレビュー結果益益益益害Ⅵ(1)全生存期間(OS) OSは,コホート研究1編4)で評価されていた。この研究では,G‒CSFの二次予防投与を実施した11例中1例(9.1%)が死亡,実施しなかった13例中7例(53.8%)が死亡しており(log‒rank test,p=0.019),G‒CSFの二次予防投与によりOSの延長が示唆された。しかし,サンプル数が少ないコホート研究であり,不精確性が高いため,関連性については限定的であった。(2)発熱性好中球減少症発症率(FN発症率) FN発症率は,RCT 1編5),前向き観察研究が1編6),後ろ向きコホート研究8編4,7‒13)で評価されていた。周術期がん薬物療法中の早期乳がん患者を対象とした396例のRCT5)では好中球減少に関連する事象(neutropenic event;NE)のRR 0.116(95%CI:0.073‒0.185)であった。また,周術期(47%)と転移性(53%)の固形がん症例を含む前向き観察研究6)では,多変量解析にてG‒CSFの二次予防投与のみがNEの再発を有意に減少していた[HR 0.32(95%CI:0.24‒0.43,p<0.001)]。ただし,これらの研究では,NEの定義として,FNのほかに治療延期や減量を要する好中球減少も含まれており,FN発症率が低下しているかは不明であった。(3)感染による死亡率 感染による死亡率を評価した研究は抽出されなかったため,評価不能とした。エビデンスの強さC(弱い)エビデンスの強さB(中)エビデンスの強さD(非常に弱い)3採択された論文 本CQに対する文献検索の結果,PubMed 355編,Cochrane 2編,医中誌35編が抽出され,計392編がスクリーニング対象となった。2回のスクリーニングを経て抽出された12編を対象に定性的システマティックレビューを実施した。Q40(CQ) 155
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