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解 説 治癒を含む十分な効果を目的として,相対用量強度(relative dose intensity;RDI)を下げない方がよいと考えられるがん薬物療法におけるG‒CSFの二次予防投与は,OSを改善するというエビデンスは乏しいが,FN発症率の低下,RDIの維持を示す弱いエビデンスが存在し,害に関するエビデンスが明確でないことから弱く推奨する。1本CQの背景 一次予防投与が推奨されていないがん薬物療法レジメンにおいて,前コースでFNや遷延性好中球減少症を発症した場合,次のコースにおける対処の選択肢として,G‒CSFの二次予防投与や,がん薬物療法の減量・スケジュールの変更が考えられる。 ASCOガイドライン1),ESMOガイドライン2016年版2),NCCガイドライン3)では,減量や治療の延期が治療効果に悪影響を及ぼすようながん薬物療法において,前コースで好中球減少による合併症を起こし,かつ,G‒CSFの一次予防投与が行われていない場合,G‒CSFの二次予防投与が考慮される,と記載されている。しかしながら,ASCOガイドラインには,多くの臨床状況においては,減量や延期が合理的な代替案であるかもしれない,とも記載されている。2アウトカムの設定 本CQでは,がん薬物療法を受けてFNを発症し,同じレジメンで次コースを行う固形がん患者を対象に,G‒CSFを二次予防投与で用いる場合とG‒CSFを二次予防投与で用いずにがん薬物療法の減量や延期を考慮する場合を比較して,「全生存期間(OS)」「発熱性好中球減少症発症率(FN発症率)」「感染による死亡」「生活の質(QOL)」「疼痛」「相対用量強度(relative dose intensity;RDI)」の6項目について評価した。がん薬物療法のRDIと効果や治癒率に関連が示されているがん種(早期乳がんや胚細胞腫瘍など)が存在することから,本CQのアウトカムにはRDIを含めた。154 Ⅵ.その他推奨の強さ:2(弱い) エビデンスの強さ:B(中)合意率:100%(23/23名)推 奨がん薬物療法を受けて発熱性好中球減少症を発症した固形がん患者*において,G‒CSFの二次予防投与を行うことを弱く推奨する* 特に治癒を含む十分な効果を期待でき,治療強度を下げない方がよいと考えられる疾患(CQ)がん薬物療法を受けて発熱性好中球減少症を発症した固形がん患者において,G‒CSFの二次予防投与は有用か?Q40

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