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益腹膜播種陽性診断率害コスト,偽陰性症例,偽陽性症例での追加検査の侵襲とコスト76推奨の強さ:弱い エビデンスの強さ:C 合意率:100%(8/8)ステートメント腹膜播種の診断においてCA19-9などの腫瘍マーカーの測定を提案する。腹膜播種は特異的な症状に乏しいため,臨床症状は診断の指標にはならないが,強い腹痛や腹部膨満,便秘などの腹部症状を認める場合は,腹膜播種の存在が考慮される。各腫瘍マーカーの膵癌の診断感度はCA19-9が70-80%,Span-1が70-80%,DUPAN-2が50-60%,CEAが30-60%,CA50が60%,CA242が60%と報告されている1)。しかし,いずれも進行がんを除くと感度は低下し,膵癌の早期診断における有用性は限定的である2)。一方,腫瘍マーカーは術後再発,予後,治療効果の予測における有用性が示されている3-7)。本CQでは腫瘍マーカーが腹膜播種の診断に推奨されるかについて検討した。これまでのところ膵癌腹膜播種に対する腫瘍マーカーの診断能を評価した報告は限られている。Alberghinaらは膵癌136例に対し,超音波内視鏡で指摘された腹水と腹膜播種の関連性について検討し,CA19-9>300 U/mLの腹膜播種に対する診断能は,感度77.8%,特異度50.0%,正診率52.1%で,超音波内視鏡で指摘された腹水の腹膜播種に対する診断(感度66.7%,特異度84.7%,正診率83.1%)よりも低いことを報告している8)。一方,画像検査陰性の潜在的腹膜播種の危険因子や術後腹膜播種再発の予後因子としての腫瘍マーカーの有用性についてはいくつかの報告がある。根治を企図した開腹術時に偶発的に腹膜播種を指摘され試験開腹となった群では根治術を施行した群と比較して,有意にCA19-9あるいはCEAが高値であったと報告されている9, 10)。またSatoiらは局所進行膵癌110例を対象に審査腹腔鏡を実施し,21例(19%)に腹膜播種を認め,腫瘍径>42 mmおよび体尾部癌がその危険因子となることを報告している11)。さらに画像検査陰性にもかかわらず審査腹腔鏡で腹膜播種を含めた転移巣が指摘される,いわゆる潜在的遠隔転移についての検討で,CA19-9高値が危険因子になりえることが報告されている4, 7, 11-17)。しかしこれらの研究では,対象群の患者背景や画像精度・撮影条件等が必ずしも一致していないこと,腹膜播種だけでなく微小肝転移などを含むことに注意が必要で,審査腹腔鏡による腹膜播種診断をgold standardとした場合のCA19-9の至適なcut-off値は定まっていない。周術期CA19-9と腹膜播種再発の関連が報告されている。Hataらは術前および術後CA19-9高値(>37 U/mL)と腹膜播種再発の関連性を示している18)。またTakagiらはR1 解説CQ1膵癌腹膜播種の診断法として血液検査(腫瘍マーカー)を推奨するか?

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