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148推奨の強さ:弱い エビデンスの強さ:C 合意率:82%(14/17)ステートメント完全減量手術と腹腔内温熱化学療法による治癒切除の適応がないもしくは切除不能の症例に対して,原発切除,両側付属器切除,大網切除,粘液ドレナージなどによる減量手術(maximal tumor debulking:MTD)を行うことを弱く推奨する。益生存期間の延長,症状緩和害合併症減量手術を繰り返す治療(serial debulking surgery)はかつて行われていた治療法であるが,5年,10年全生存率はそれぞれ15.3~20%,0~8.3%と不良であった報告されている1)。最近では,年齢や併存症などにより高侵襲手術である完全減量手術と腹腔内温熱化学療法(CRS+HIPEC)の適応がない場合,いわゆる小腸および小腸間膜に病変が高度で肉眼的治癒切除が困難な症例に対して,減量切除(maximal tumor debulking:MTD)を行うことにより症状緩和と生存期間の延長の報告がなされている2, 3)。具体的には,原発切除(虫垂切除または回盲部切除),両側付属器切除,大網切除が選択される。MTDを選択せざるを得ないような症例では腫瘍の進展・浸潤・圧迫などによりもはや通常の解剖を失っていることが多く,ときに,全結腸切除(永久人工肛門造設)となることもある3)。MTDを施行後は,1~2年にわたり症状緩和およびQOLの改善を期待できるとされており4),約半数は約2年間無症状であったと報告されている5)。また,治療成績に関しては,術死率は0~2.5%,3年および5年全生存率は34~66%,15~39%と報告されている3, 5, 6, 7)。一回のMTDがserial debulkingよりも優れているかは未だ議論の余地がある8)。一般的には,減量手術を繰り返すことにより癒着が高度となり,加えて病勢も進んでいるため,合併症率と術死率が増加すると考えられているが,複数回の減量切除は生存率を改善させたという報告もある7, 8)。減量手術に関するRandomized Controlled Trialは存在せず,十分なエビデンスがあるわけではない。しかしながら,短期および長期成績は許容される結果である。PMPは稀な疾患であり対応に苦渋することが多く,専門センターでの治療が推奨される。なお,減量手術という保険収載はないが,各術式の組み合わせであり,保険適応内で施行可能である。 解説 明日への提言全身状態不良もしくは病変高度進展のため完全減量が不可な症例に対して減量切除は有CQ2腹膜偽粘液腫に対して減量手術(debulking surgery)を推奨するか?

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