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1.総 論2.検診対象者4.検診方法1)質 問2)胸部X線検査3.検診間隔 年1回I.胸部X線検査と高危険群に対する喀痰細胞診併用法 肺がん検診においては,諸外国でのランダム化比較試験では利益を示すことができなかったが,本邦での複数の症例対照研究が一致した結果を示していることから,「全例に対する胸部X線検査と高危険群に対する喀痰細胞診の併用法」が推奨されている。肺癌の高危険群とは一般的には重喫煙者の他,職業性曝露,COPD,間質性肺炎などを指す。しかしここでは検診のモダリティとして喀痰細胞診を追加する必要がある肺門部扁平上皮癌が発症しやすいものに限定するため,50歳以上の重喫煙者(本人)のみを高危険群と定義する。肺門部扁平上皮癌の早期発見は,胸部X線検査や胸部CTのみでは困難であり,喀痰細胞診を必要とする。 胸部X線検査の対象者は40歳以上の男・女。 喀痰細胞診の対象者は,肺門部肺癌の高危険群とされる50歳以上の男・女で,喫煙指数(1日平均喫煙本数×喫煙年数)が600以上であることが質問によって確認された者(過去における喫煙者も含む)。加熱式タバコについては,「カートリッジの本数」を「喫煙本数」と読み替える。 質問にあたっては,喫煙歴,血痰の有無および妊娠の可能性の有無を必ず聴取し,かつ,過去の検診の受診状況などを聴取する。なお,質問は必ずしも対面で実施する必要はなく,受診者に自己記入式の質問票を記載させることで代用できる。血痰のあった者に対しては,検診ではなく医療機関を受診するよう指導する。 受診者全員に必ず実施する。(1)撮 影 肺癌診断に適した胸部X線撮影を行う必要がある。 背腹1方向撮影を原則とする。適切な胸部X線画像とは,肺尖,肺野外側縁,横隔膜,肋骨横隔膜角などを含むように正しく位置付けされ,適度な濃度とコントラストおよび良好な鮮鋭度をもち,中心陰影に重なった気管,主気管支の透亮像ならびに心陰影および横隔膜に重なった肺血管が観察できるものをいう。 a .間接撮影 100 mmミラーカメラと定格出力150 kV以上の撮影装置を用いて,120 kV以上の管電圧により1899

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