1.組織型や切除組織,切除方式,部位などを記載する2.腫瘍の大きさを記載する WHO組織分類およびTNM分類が改訂され,それぞれ第4版,第8版となったことから,それに沿った病理診断報告書に記載すべき内容とその方法について解説する。今回の改訂では病理組織分類とTNM病期分類で多くの変更がなされているが,特に腫瘍径の定義やpTの評価方法が大きく変わっており,詳細な説明を加えた。また,規約独自の記載内容もあるので注意されたい。なお,TNM分類はカルチノイド腫瘍を含む原発性肺癌に適応されるもので,真の肉腫やリンパ腫,稀な腫瘍には適応されない。 以下,「●」は今回変更または追加した項目,「•」は規約第7版から変化のない項目とする。 「○」は規約第8版補訂版で変更または補足した項目である。●病変全体径total sizeと浸潤径invasive sizeの両方を記入する。● 全体径は通常肉眼的に測定し,新鮮標本またはホルマリン固定標本に割を入れ,定規を用いて3方向を測定する。顕微鏡的観察後に炎症や線維化など,非腫瘍領域を含んでいた場合には再評価する。計測ができない場合には高分解能CT画像などによる臨床での測定値を参考にしてもよい。の組織型において適用される。診断例:A)Invasive Adenocarcinoma, left lung.- Lt. S1+2a- Total size 2.8×2.5×1.5 cm, Invasive size:1 cm- Papillary adenocarcinoma, G2- Component:papillary 70%, acinar 15%, lepidic 10%, micropapillary 5%- pm0, pl0, Ly1(D2‒40), V0(EVG)- br(-)- PLC‒pre(-), PLC‒post(-), E(未検)- Lymph nodes:#3(-), #5(-), #7(-), #10(-), #12u(-)- pT1a pN0 cM0, stage IA- R0B)Other findings 1)Atypical adenomatous hyperplasia, Lt. S3a, 0.4 cm in size 2)Minute meningothelial nodule, Lt. S1+2a● 迅速診断や新鮮検体採取による欠損が生じている場合,画像所見との乖離がある場合,肉眼的● 浸潤径とは顕微鏡的に観察し,上皮内成分癌を除いた浸潤領域の最大径とする。これはすべて● 腺癌においては置換性増殖領域を除いた浸潤領域を測定する。その際,線維化巣は,辺縁の一 117VI.病理記載4
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