2.切除可能境界(Borderline Resectable)膵癌の治療法〔B〕

CQ 

B1 切除可能境界膵癌に対して外科的治療は推奨されるか?

ステートメント

切除可能境界膵癌に対して手術先行ではなく,術前補助療法後に治療効果を再評価し,
治癒切除可能か否かの検討を行った後に外科的治療を行うことを提案する。

[推奨の強さ:弱い,エビデンスの確実性(強さ):C(弱)]

解 説

NCCNガイドラインにおいて膵癌は切除判定基準として“resectable(切除可能)”,

“borderline resectable(切除可能境界)”,“unresectable(切除不能)”の3段階に分けられて

いる 

1)

。わが国においては,『膵癌取扱い規約』

(第7版)で切除可能性分類(resectability 

classification)が登場した 

2)

。「切除可能性分類」では局所の浸潤程度と遠隔転移の有無などに

よりNCCNガイドラインと同様,切除可能性は“resectable(切除可能)”,“borderline 
resectable(切除可能境界)”,“unresectable(切除不能)”に分類される。

切除可能境界膵癌とは,腫瘍が門脈や上腸間膜動脈など主要血管に浸潤を認め,手術先行

による外科的切除を施行しても高率に癌が遺残し,生存期間延長効果を得ることができない
可能性があるものと定義されている 

3)

。切除可能境界膵癌に対する治療戦略として,術前補

助療法によるR0切除率の向上が生存向上につながる可能性があり,その効果が注目されて
いる。しかし,切除可能境界膵癌に対して術前補助療法+外科的治療の予後の向上における
有効性はいまだ確立されていない。

切除可能境界膵癌のみに限定した手術先行vs.術前治療の比較試験は少なく,後ろ向きコ

ホート研究5編 

4-8)

,RCT 1編 

9)

のみである(表3)。さらに切除可能境界膵癌および局所進行

膵癌における手術先行vs.術前治療の後ろ向きコホート研究が1編 

10)

ある(表3)。記載のあっ

た報告において術前治療によって切除可能境界膵癌のR0切除率の有意な向上が認められた。
予後に関しては,日本膵切研究会アンケート報告において,624例の切除可能境界膵癌のう
ち切除例539例の解析で,術前治療非施行群482例の生存期間中央値が12.1カ月であるのに
対して,術前治療施行群57例の生存期間中央値が23.8カ月と,切除可能境界膵癌の生存率
向上に対する術前治療の効果を報告している(p=0.023) 

4)

。後ろ向きコホート研究6編の論

文から切除可能境界膵癌に対する術前治療の有効性が示されると考えるが,術前治療のレジ
メンに各研究でばらつきがあるため,術前治療の効果を単純に比較できない。2018年に韓
国から切除可能境界膵癌において手術先行に対する術前治療の有効性を検証する多施設共同

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