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.作成法

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2009年7月に『大腸癌治療ガイドライン医師用2009年版』,2010年7月に『大腸癌治療ガイド
ライン医師用2010年版』,2014年1月に『大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版』,2016年
7月に化学療法領域のみを改訂した『大腸癌治療ガイドライン医師用2016年版』が刊行され
た。その後,本邦における腹腔鏡下大腸癌手術,側方郭清の適応に関する臨床試験の結果が公
表され,2018年7月に『大腸癌取扱い規約第9版』が刊行された。アフリベルセプトならびに
ペムブロリズマブ,BRAF遺伝子検査の保険適用など,薬物療法領域の変化もあり,新たなガ
イドライン作成委員会により全領域に及ぶ改訂作業が開始された。2018年7月の第89回大腸
癌研究会で公聴会を開催し,その後大腸癌研究会ホームページでパブリックコメントを募
集,広く意見を求めた。それらを参考に修正を加え評価委員会へ提出,評価委員会の意見を
参考にさらに修正を加え2019年1月に『大腸癌治療ガイドライン医師用2019年版』を刊行
するに至った。

 本ガイドラインは,大腸癌の標準的な治療方針の理解を助けるために各種治療法と治療方針
の根拠を示すが,各治療法の技術的問題には立ち入らない。

 治療方針のアルゴリズムを提示し,それに関する解説を簡潔に記載し,さらに解説が必要な
事項に関してはコメントを追加するという,初版のコンセプトを継承した。2009年版より,ガ
イドライン作成委員会の合議のもとに,議論の余地のある課題をclinical question(CQ)とし
て取り上げ,推奨文を記載する形式も併用した。2019年版では,この形式を継承し,かつ,薬
物療法領域のCQについて2016年版,他の領域においては2014年版刊行以降の知見を踏まえ,
CQの修正・追加を行った。
 また,CQに用いる表現は,明瞭で,あいまいでないように努め,複数の介入を比較する場
合は,すべてに順位付けすることに固執せず,臨床の現場でも役立つように,柔軟な表現を心
がけた。
 CQの解説においては,理解しやすく過不足のない長さであることを重視し,多数の臨床試
験に言及する場合は,研究結果に関する具体的な数値等の記載は簡略化した。
 臨床病理学的用語については,『大腸癌取扱い規約第9版』に準拠した。

 CQに対する推奨文には,下記の作業によって決定したエビデンスのレベル,推奨の強さを
付記した。
4)—1 エビデンスのレベル
 CQに関する論文を網羅的に収集し,CQが含む重大なアウトカムに関して個々の論文が提示
するエビデンスを研究デザイン

1)

でグループ分けし,GRADE

システム

2‒21)

を参考にして文献

2

)作成の原則

3

)記載方法

4

)CQのエビデンスのレベル・推奨の強さ

GRADE

:The Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation