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認)
225)
。以上より,MSI-H切除不能大腸癌既治療例に対する抗PD-1抗体薬療法は,高い有
効性が期待されることから推奨される。なお,一次治療でのPembroの有効性については,
標準治療とPembroとの第Ⅲ相試験(KEYNOTE‒177試験)が実施中である。
一方,pMMRまたはNon-MSI-H大腸癌に対しては,抗PD-1抗体薬単剤療法は無効であ
り,推奨されない。現在,免疫チェックポイント阻害薬併用療法の臨床試験が行われている
が,現時点ではその有用性は明らかではなく臨床試験以外では使用されるべきではない。
また,もともと,MSI検査およびMMR蛋白質免疫染色はリンチ症候群のスクリーニング
検査として用いられていることから,本検査を行う際には,事前に本検査がリンチ症候群の
スクリーニングにもなり得る点を説明し,陽性であった場合には遺伝カウンセリングと確定
診断のための遺伝学的検査(自費診療)への対応が必要となることを想定した体制整備が求
められることに留意されたい。
切除不能肝転移を対象としたCALGB‒9481試験において,FUDR肝動注療法の奏効割合,
全生存期間は5-FU+LV全身薬物療法と比較し有意に良好であることが示された
585)
。しか
し,本試験を含むメタアナリシスでは,肝動注療法(FUDRまたは5-FU+LV)は全身薬物
療法(FUDRまたは5-FU+LV)と比較し奏効割合は有意に高いが,全生存期間に明らかな
差は認められなかった
586)
。
肝動注療法と全身薬物療法の併用療法も開発されており,FUDR肝動注療法とOX+
5-FU+LV全身薬物療法の併用第Ⅰ相試験では奏効割合87%,生存期間中央値22カ月,5-FU
肝動注療法とIRI全身薬物療法の併用第Ⅰ/Ⅱ相試験では各々72%,49.8カ月など,良好な
成績が報告されている
587,588)
。
後方視的な検討においてOX,IRI,分子標的薬を含む標準的全身薬物療法に不応となった
切除不能肝転移例に対するFUDR肝動注療法は奏効割合29%,生存期間中央値17.2カ月と
報告されている
589,590)
。
これまでのランダム化比較試験はいずれもフッ化ピリミジン単独の肝動注療法と全身薬物
療法の比較であり,現在の標準的な全身薬物療法であるOXやIRI,分子標的治療薬を用い
た多剤併用療法に対する肝動注療法または肝動注療法と全身薬物療法の併用療法の有効性は
エビデンスが不十分で確立しておらず,臨床の現場ではほとんど実施されていないのが現状
である。エビデンスレベルはCであるが,効果が明確である全身薬物療法が行われない場合
の害を考慮して,委員の投票の結果「肝動注療法を行わないことを強く推奨」に決定した。
CQ 24
:肝転移に対する肝動注療法は推奨されるか?
全身薬物療法が可能な場合,切除不能肝転移に対して肝動注療法を行わないことを強く推
奨する。
(推奨度1・エビデンスレベルC)