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6.病理診断
f.索状 trabecular
異型上皮様細胞が索状配列するもの(図8)。
g.多形型 pleomorphic
多形性を示す細胞や巨細胞が目立つもの。より予後が悪い(図9)。
h.明細胞型 clear cell
グリコーゲンや脂質の貯留により淡明な細胞質を有するもの。腎細胞癌などとの鑑別が必要な場合
がある(図10)。
i.脱落膜様 deciduoid
豊富な好酸性~両染性な細胞質をもち,子宮内膜の脱落膜細胞様の形態を示すもの(図11)。
j.腺様囊胞型 adenoid cystic
唾液腺の腺様囊胞癌と同様の篩状構造が目立つもの(図12)。
k
.印環細胞型signet ring
細胞質内粘液のため核が偏在した形態を示すもの。極めて稀である。
l
.小細胞型 small cell
異型小型細胞の充実性・びまん性増殖を示すもの。小細胞癌やPNET/Ewing肉腫などとの鑑別が必
要。詳細に検索すると通常の上皮型成分があることが多い(図13)。
m
.ラブドイド rhabdoid
豊富な細胞質と偏在核をもつ細胞が,接着せずに,あるいは緩い結合性を示しつつ増殖するもの。
細胞質には硝子化した胞体内封入体様構造が存在する(図14)。
n
.移行型 transitional
異型細胞が接着してシート状に増殖しているが,細胞形態が若干,紡錘形化しているもの。上皮型
あるいは肉腫型中皮腫との異同が問題となる場合がある(図15)。
図3.上皮型中皮腫:腺管乳頭状
異型上皮様細胞が乳頭状および腺管形成を示して増
殖する。
図4.上皮型中皮腫:微小乳頭状
異型上皮様細胞が線維血管性の間質を伴わず,小乳
頭状構造を示す。本構築があるとリンパ管侵襲しや
すい傾向がある。