66

  

6.病理診断

f.索状 trabecular

 異型上皮様細胞が索状配列するもの(図8)。

g.多形型 pleomorphic

 多形性を示す細胞や巨細胞が目立つもの。より予後が悪い(図9)。

h.明細胞型 clear cell

 グリコーゲンや脂質の貯留により淡明な細胞質を有するもの。腎細胞癌などとの鑑別が必要な場合
がある(図10)。

i.脱落膜様 deciduoid

 豊富な好酸性~両染性な細胞質をもち,子宮内膜の脱落膜細胞様の形態を示すもの(図11)。

j.腺様囊胞型 adenoid cystic

 唾液腺の腺様囊胞癌と同様の篩状構造が目立つもの(図12)。

k

.印環細胞型signet ring

 細胞質内粘液のため核が偏在した形態を示すもの。極めて稀である。

l

.小細胞型 small cell

 異型小型細胞の充実性・びまん性増殖を示すもの。小細胞癌やPNET/Ewing肉腫などとの鑑別が必
要。詳細に検索すると通常の上皮型成分があることが多い(図13)。

m

.ラブドイド rhabdoid

 豊富な細胞質と偏在核をもつ細胞が,接着せずに,あるいは緩い結合性を示しつつ増殖するもの。
細胞質には硝子化した胞体内封入体様構造が存在する(図14)。

n

.移行型 transitional

 異型細胞が接着してシート状に増殖しているが,細胞形態が若干,紡錘形化しているもの。上皮型
あるいは肉腫型中皮腫との異同が問題となる場合がある(図15)。

図3.上皮型中皮腫:腺管乳頭状

異型上皮様細胞が乳頭状および腺管形成を示して増
殖する。

図4.上皮型中皮腫:微小乳頭状

異型上皮様細胞が線維血管性の間質を伴わず,小乳
頭状構造を示す。本構築があるとリンパ管侵襲しや
すい傾向がある。