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 本規約は,大腸癌の臨床的および病理学的所見の判定と記録のためのルールや標本の取扱い
方法の仔細を規定することで,わが国の大腸癌診療の標準化ひいては大腸癌治療成績の向上に
寄与してきた。さらに2005年の初版刊行から版を重ねている大腸癌治療ガイドラインには規約
に則した治療アルゴリズムが示されており,ガイドラインと表裏一体をなす規約の重要性は以
前にも増して高まりつつある。こうしたなかで,今回の改訂は,TNM分類第8版(2017年刊
行)および他臓器の癌取扱い規約との整合性を重視しつつも,世界に冠たるわが国の大腸癌治
療成績のさらなる向上に資する独自のルールとしての規約の役割を堅持することを基本理念と
した。
 大腸癌の進行度分類(Stage)はTNM分類第8版に歩み寄る改訂となったが,領域リンパ節
および「リンパ節構造のない壁外非連続性癌進展病巣(EX)」の定義と取扱いがTNM分類と
は相違すること,主リンパ節と側方リンパ節(N3)に重きを置く独自のリンパ節転移分類を用
いていることに起因する違いがある。一方,わが国においては罹患率が低く,全国大腸癌登録
においても集積データが乏しい虫垂癌および肛門管の扁平上皮や肛門腺ないしその導管から発
生する肛門管癌の進行度分類にはTNM分類第8版を用いることとした。
 以下に本改訂版の主な改訂点を列記する。

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 進行度分類(Stage)の表記法について,TNM分類の進行度分類を使用する虫垂癌と肛門管

癌はローマ数字と大文字のアルファベットを用いる(例:Stage ⅢA)。一方,大腸癌は従来
通りローマ数字と小文字のアルファベットを用いる(例:Stage Ⅲa)(6頁)。

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3.1.6 壁深達度〔T〕
 肛門管の癌腫のうち直腸型腺癌の壁深達度を新たに定義した(11頁)。
 pT4aの定義を変更した(11頁)。
3.2.1.4 リンパ節転移〔N〕
 N1をN1a,N1bに,N2をN2a,N2bに分類した(15頁)。
3.2.2 遠隔転移〔M〕
 TNM分類第8版に準じて遠隔転移(M1)をM1a~M1cに分類した。独自にM1cをM1c1

(腹膜転移のみ),M1c2(腹膜転移を含む複数臓器転移)に分類した(15頁)。

3.2.2.2 腹膜転移〔P〕
 卵巣転移は遠隔転移として取扱い,OVAの記号で記録することとした(例:卵巣転移単独

の場合 M1a(OVA)(15,16,17頁)。

3.3.1 進行度の臨床分類と病理分類
 大腸癌の進行度分類を改訂した。StageⅡをStageⅡa~StageⅡcに,Stage ⅢをStage Ⅲa~

Stage Ⅲcに,Stage ⅣをStage Ⅳa~Stage Ⅳcに分類した(18頁)。

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