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原発部位の検索にp16免疫染色とEBER-ISHは有用か?

推奨グレード

A

2017年UICCの新分類では,原発巣検索の過程でp16免疫染色が陽性の場合はHPV
関連性中咽頭癌として,EBVが検出された場合は上咽頭癌として分類されることと
なったため,p16免疫染色検査やEBER-ISH法は原発不明頸部転移癌の検査として必
須である。

解説

近年,世界的にHPVが発がんに関与している中咽頭癌が増加してきた 

1)

。本邦の多施設

共同研究の結果でも,HPV陽性の中咽頭癌はおよそ50%といわれ,リンパ組織が豊富な中
咽頭側壁,前壁に多いことも明らかになっている。また,HPVのタイプとしてHPV16が
90%を占める 

2)

。したがって,HPVのDNAまたはRNAを検出できれば,原発巣が中咽頭

に存在する可能性が高い。p16はHPV感染の代理マーカーとして有用で,実臨床ではp16の
免疫組織染色が簡便かつ実用性の高い検査法として広く行われている 

3)

一方,Epstein-Barr virus encoded RNA(EBER)は蛋白質をコードしないRNAであるが,

EBVが感染した上皮細胞やBリンパ球細胞に広く産生され,EBVの存在を検出するのに最
も適したマーカーとされる。その手法として,in situ hybridization(ISH)法の感度がよく
実臨床で広く使われている 

4,5)

。上咽頭癌の発がんにEBVが関係していることは広く知られ

ているが,上咽頭癌のすべてでEBVが証明できるわけではない。一般にISH法にてEBER
が検出できるのは上咽頭癌の70%程度であり,特にWHO分類のtype-Ⅲ(undifferentiated 
ca)でその割合が高い 

4,5)

。EBER-ISH法は上咽頭組織からだけでなく,頸部リンパ節からも

検出可能である 

6)

2017年にUICCから『TNM悪性腫瘍の分類 第8版』が発表されたが,検索の過程でHPV

が検出された場合,あるいはp16免疫染色で陽性であった場合はHPV関連性中咽頭癌とし
て,EBVが検出された場合は上咽頭癌として分類されることとなった。p16免疫染色や
EBER-ISHは原発不明頸部転移癌の検査として必須となった。

参考文献  

 1) D’Souza G, Kreimer AR, Viscidi R, et al. Case-control study of human papillomavirus and 

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(レベルⅣ)

 2) 徳丸裕,藤井正人,家根旦有,他.中咽頭癌におけるヒト乳頭腫ウイルスの関与に関する多施設共同

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(レベルⅣ)

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 4) Nakao K, Mochiki M, Nibu K, et al:Analysis of prognostic factors of nasopharyngeal carcinoma:

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 5) Casco FG, Rios MJ, Miguel MD, et al:Head and neck cancer. An aetiopathogenetic study of non-

endemic lymphoepithelioma. Acta otorhinolaryngol Italica. 2013;33:9-15.



(レベルⅣ)

 6) Mirzamani N, Salehian P, Farhadi M, et al:Detection of EBV and HPV in nasopharyngeal carcinoma 

by in situ hybridization. Experimental and Molecular Pathology. 2006;81:231-4.



(レベルⅣ)