8

  

1. TNM分類

II

.TNM分類・補足

1

.T分類に関して

1

)腫瘍径は,高分解能CTを撮影し,腫瘍最大割面における最大径を測定する。腫瘍の一部または

全体がすりガラス状陰影を呈する場合,腫瘍全体の最大径と中心の浸潤性増殖を示す充実性部分
の最大径の両方を測定し,すりガラス成分と充実成分を合わせたサイズを「病変全体径」とし,充
実成分のみの径を「充実成分径」とする。病理学的な評価においてはそれぞれ「病変全体径」,

「浸潤

径」を相当させる

5

)9)

2

)病変全体径≦3 cmの場合,T因子の決定のためには充実成分径を用いる。例えば,すりガラス

成分を含めた腫瘍全体の最大径が2.5 cmであり,その中の充実成分径が1.3 cmであった場合に
は,T1bとなる。

3

)Tis(上皮内癌)には腺癌,扁平上皮癌,どちらの病理組織型も含まれる。

4

)T1mi(微少浸潤性腺癌)とは,主に肺胞置換型進展を示す,すりガラス成分を含めた腫瘍全体の

最大径≦3 cmの孤立性腺癌であり,中心の浸潤性増殖を示す部分(充実成分)の最大径がいずれも
0.5 cm

以下のものを指す。

5

)主に肺胞置換型進展を示す腫瘤,すなわちCT上純粋なすりガラス成分だけの腫瘤であり,その

最大径が3 cmを超える場合にはT1aとなる。また,充実成分があれば,その最大径に従いT1a,
T1b

,T1cと分類する

9

6

)浸潤が気管支壁内に限局しているものは,表層の中枢側への進展が主気管支より中枢側に及ん

でいてもT1aとする。

7

)腫瘍直径以外に関する特徴を有するT2腫瘍で,充実成分径が4 cm以下であるか,または充実

成分径が特定できない場合はT2aに分類する。充実成分径が4 cmを超え5 cm以下の場合にはT2b
に分類する。

8

)肉眼的に肺胸膜表面に達しているとき(PL1),あるいは組織学的に臓側胸膜外弾力膜を越えてい

るが胸膜表面に達していないとき(pl1)はT2とする。すなわち胸膜浸潤についてはPL(pl)0のみ
がT1と分類される。なお,充実成分径≦3 cmでPL(pl)1または2の場合はT2aとする。

9

)主気管支に浸潤がある場合には,気管分岐部からの距離にかかわらずT2とする。腫瘍に伴い無

気肺・閉塞性肺炎が肺門に及ぶ・あるいは全片肺に及ぶ場合はT2とする。

10

)横隔神経への浸潤はT3に分類する。

11

)声帯麻痺(迷走神経の反回神経枝への浸潤による),あるいは上大静脈閉塞,また気管や食道へ
の浸潤はT4に分類する。原発巣が末梢にあり反回神経麻痺がリンパ節によると考えられる場合
はT4としない。

12

)T4における大血管には下記のものが含まれる。
・大動脈
・上大静脈
・下大静脈