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6. 気管支鏡診断

III

非早期肺癌の内視鏡所見分類

 腫瘍の増殖形態を総合的に,図4のごとく,A. 粘膜型(上皮層および上皮下層を破壊して増殖
する)と,B. 粘膜下型(粘膜下に浸潤増殖する)およびC. 壁外型に分類した。さらに,粘膜型を
①表層浸潤型,②結節隆起型,および③ポリープ型とした。
 腫瘍の増殖により形成される気管支鏡所見を表2に示した。腫瘍所見は腫瘍そのものによる

「直接所見」と,腫瘍による二次的変化である「間接所見」とに区別した。これらの所見記載は表2

の記号を組み合せて用いる。
 粘膜型は中心型(肺門型)扁平上皮癌に,粘膜下型は末梢発生の腺癌,扁平上皮癌,大細胞癌,
小細胞癌に観察されることが多い。図5~20に非早期肺癌,その他の悪性腫瘍,および鑑別を要
する良性腫瘍の内視鏡所見を示す。

表2.非早期肺癌の内視鏡所見

Ⅰ.直接所見
Ⅱ.間接所見

 a 

.凹凸不整

 b 

.血管の怒張

 c 

.壊死・白苔

 d 

.潰瘍

 e 

.発赤

 f 

.出血

 g 

.狭窄

 h 

.閉塞

 i 

.粘膜襞の肥厚・消失

 j 

.腫脹(浮腫)

 k 

.軟骨輪の不明瞭化

 l 

.分岐の開大・鈍化・肥厚

図4.腫瘍増殖形態からみた内視鏡所見分類

A.

B.

C.

(1)

(2)

(3)