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.定義と解説
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本邦で発見・治療される腺癌は小型でHR⊖CT画像上すりガラス陰影を示すことが多く,末梢
肺胞領域での腫瘍浸潤の判定が難しい症例が少なくない。このことから,HE染色に加えてElas-
tica van Gieson
(EVG)染色やElastica Masson染色などの弾性線維染色を実施して,血管や胸膜へ
の侵襲評価だけでなく,既存肺胞隔壁に分布する弾性線維の破壊や膠原線維の増生を観察するこ
とが重要である。これらの弾性線維染色を推奨するとともに,図譜に加えて典型像を解説する。
浸潤の有無を判定するにあたって診断者間一致率が最も低いのは以下の2点である。
図7.非浸潤とすべき像
a
, b .虚脱による線維化巣には弾性線維が濃縮されているが,網目構造の破綻はない。
c
, d .肺胞壁は種々の程度に弾性線維や膠原線維により硬化する。
e
, f .弾性線維網は保たれ,繊細な膠原線維や脈管を含む結合組織に囲まれた偽管状構造をとる。
a
b
c
d
e
f