36 Ⅲ.所見の記載法
(2)膵臓に関連するリンパ節の番号とリンパ節転移のCT診断基準
図27(a~d)に膵臓に関連するリンパ節の番号を示す。複数のリンパ節転移が癒合した
大きなリンパ節転移の場合には,番号の決定に迷う場合もある。膵癌症例では,局所の腫
瘍周囲領域,上腸間膜動脈や腹腔動脈周囲,肝十二指腸靱帯,大動脈周囲などにリンパ節
転移を認めることが多い。肝十二指腸靱帯には正常例でもCT上扁平なリンパ節を認める
ことが多い。また肝硬変などのび漫性肝疾患では高率に肝十二指腸靱帯~大動脈周囲の反
応性リンパ節腫大を認める。これらの正常あるいは反応性リンパ節腫大と転移性リンパ節
腫大との鑑別は容易ではない。
サイズ的には短径10 mmをこえる場合にはリンパ節腫大と診断している(図28)。しか
しながら,必ずしも腫大があるからといって転移しているわけではないし,5 mm以下の
小リンパ節であっても組織学的に転移を認める場合がある。
正常あるいは反応性リンパ節腫大は通常造影CTでは淡く均一に濃染されるので,造影
で腫大リンパ節内に壊死を示唆する低吸収域を認める場合は転移の可能性が高い(図29)。
また,癒合傾向にあるリンパ節腫大や門脈や動脈を狭窄させるような腫大リンパ節も転移
の可能性が高くなる。
図 27a.CTにおける膵臓に関連するリンパ節部位:横断像(1)
♯はリンパ節番号を示す。