3章*HDAC阻害*HDAC:histonedeacetylasesヒストン脱アセチル化酸素DOHaDのメカニズムは母乳栄養の特徴を示しており,完全母乳栄養児の適切な指導,助言を行ううえで,専用の成乳児哺育上,母乳栄養はできるだけ長く(短くとも生後5カ月末まで)与え,離乳食の開始は生後6カ月過ぎが望ましい。離乳食,次いで幼児食は和風をベースにした内容が児の健康上,重要である。和風とは,タンパク質,脂質の栄養源は魚介類,そして野菜,海藻類が豊富な料理で食物繊維の摂取も比較的容易である。n-6野菜などに含まれる食物繊維は炭水化物の一種でその大半はヒトの消化酵素では分解できないが,腸内細菌により発酵分解され,酢酸,プロピオン酸,酪酸の短鎖脂肪酸が生成される。これら短鎖脂肪酸は,腸上皮細胞のエネルギーや腸のバリア機能を高め,制御性T細胞(Treg)を誘導する。細胞の短鎖脂肪酸受容体であるGPR43を活性化し,脂肪組織のインスリン感受性が低下して脂肪蓄積が抑えられ,一方で筋肉や肝臓でのインスリン感受性が高まり,長曲線の適用が必須である。系のアラキドン酸(AA)はその代謝産物であるプロスタサイクリンとともに脂肪組織形成を促進する7)。DHA含有量の多いマグロやカツオ等の魚の摂取を妊婦,授乳婦に奨励し,出生した児も離乳食の中期以降,乳幼児期に魚の積極的摂取が望ましい。エネルギー消費が亢進して肥満を防ぐ働きがある8)。さらにGPR43の短鎖脂肪酸による刺激は,腸管のL細胞からPYYとGLP-1を分泌し脂肪組織のインスリン抵抗性を改善する。また,他の短鎖脂肪酸受容体であるGPR41のプロピオン酸,酪酸の刺激も同様の機序でGLP-1を分泌させると同時に,GPR41が交換神経節に多数分布していることから心拍数を増加させ,エネルギー消費も亢進する9, 10)(図2)。このように食物繊維と腸内細菌の作用で図2 食物繊維は身体機能に多様な有益効果を発揮メタボリック症候群などの予防,治療上重要な役割酪酸はHDACの強力な阻害物質→■■■■■遺伝子転写“ON”制御性T細胞分化促進・大腸細胞のエネルギー源肥満予防腸管内のpHを下げ酸性に保ち悪玉菌増殖抑制・■■■■■■■ O157菌抑制 C.DOHaDと腸内細菌叢─3.プロバイオティクスと乳幼児の栄養 67食物繊維は腸内細菌により発酵・分解食欲抑制,肥満改善,耐糖能改善短鎖脂肪酸(short chain fatty acids:SCFA)ナイープT細胞酪酸butyrateプロピオンpropionate酢酸acetate 5 離乳食・幼児食は和風食を基本に─魚の脂質が重要 6 食物繊維─肥満とインスリン抵抗性の改善に重要
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