15076T
8/11

当たり前のことの確認をするようですが、検査によって診断はできません。これは内科でも同じです。さらに、精神科の場合は、精神疾患を診断するのに、感度・特異度の高い生物学的検査というものは存在していませんから、◎◎検査によって統合失調症と診断した、みたいな話は聞いただけで秒でダウトと言えます。しかし、検査というのはインパクトがあります。ときどき、クリニックなどからセカンドオピニオンで来た患者さんが「脳波で発達障害と診断されたのですが」とか「MRIでうつ病と診断されています」とかおっしゃることがあります。当然脳波で発達障害は診断できないし、MRIでうつ病は診断できません。精神疾患を診断できる生物学的検査は現時点でないという基礎知識があれば惑わされないのですが、患者さんはそうではありません。もっともらしい波形や、赤く光っている画像を提示されて「ここが赤く光っているということは、あなたはうつ病ということです」と言われたら、よく知識がない人であればそうなのかと思ってしまっても無理はないでしょう。漠然と検査はするものだと思っている方だと、検査がなされないふつうの診療よりも、もっともらしい検査がなされた上で診断が下される怪しい診療のほうを信頼してしまうこともあり得ます。026

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る