1 「病気」という言葉から連想されるもの全くなく非自発入院が必要な場合などはまた別の話です。薬を飲んだら「病気」になってしまう、という観念は、一度具合が悪くなって、ある程度の期間、投薬を受けていた人にもみられることがあります。うつ病で寛解に至った患者さんは、良くなったあともある程度の期間は抗うつ薬を飲んでいたほうがいいと言われていますが、そう説明して薬を内服している患者さんが、ある日「早く病気を治したかったから」という理由で薬を自己中断することがあります。明らかに因果が逆転しています。「もう良くなっているし、そうは言っても薬はいらないと思った」と述べて薬を自己中断するのであれば理解できますが、薬を早く止めることと病気が治ることはここでは関係ないはずです。ここには、薬を飲んでいる限りは「病気」だ、という観念があり、そういう状況から脱け出したいがために薬を自己中断していることがわかります。029
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