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いときにこの構図になることが非常によくあります。初診でいらした患者さんのうち、少なくない数の方が、かなり困っているのにもかかわらず、薬は飲みたくないとおっしゃることはしばしば経験されることです。飲んだことがないとか、怖いイメージがあるとか、そういったところから来る抵抗も一部はありますが、「病気」の世界に一歩片足を突っ込んでしまうような感覚があるのだろうなと想像しています。初心のうちは、何がなんでも薬を飲ませないと良くならない、という気分になりやすく、この薬を絶対飲んでください! みたいになりがちですが、少し慣れてくると、症状が激烈にみえても、手が組めて来週まで様子がみられれば、次は薬に興味を示すだろうなとか、そういった加減がみえるようになり、無理に処方するということがなくなります。とにかく1回でも体内に入れてくれたほうが次に来たときに良くなっている可能性が高いのか、それとも1週間薬が入らないリスクを負ってでも「今日薬は飲みたくない」という気持ちを理解して処方はしなかったよ、というメッセージを伝えるほうが後々治療に乗りやすいのか、というのは感覚的にかぎ取るしかありません。大抵は後者をとったほうがうまくいきますが、前者を選ぶこともときにあります。もちろん、患者さんに判断能力が028

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