〈A〉フーベルトゥス・テレン〈B〉下田光三(1885−19 78)、日本の精神科医。慶應気』は本書「自己臭」で重要バッハ(1914−94)、ドイツの精神病理学者。主著『メランコリー』は日本のうつ病臨床に多大な影響を与えたが、もうひとつの本『味と雰囲な参照文献となる。義塾大学、九州大学の精神科教授を歴任したあと、米子医科大学(現在の鳥取大学)の創設に尽力した。変化してきているという議論が続いている。わたしが学生時代、そしてまた医師として駆け出しの頃に教わったうつ病像は、真面目で仕事熱心な人が、真面目さゆえに行き詰まって発症するというもので、それゆえ、うつ病の患者はまず休ませることが肝要とされた。それはテレンバッハ〈A〉がうつ病患者の病前性格として記述した、勤勉で几帳面、自分を殺してでも他人に気を遣う「メランコリー親和型」1や、仕事熱心で凝り性、真面目で融通がきかないという、下田〈B〉が輪郭を描いた執着性格2を基礎に形作られたうつ病の「常識」であった。だが、そのようなうつ病像はドイツと日本という特定地域の、特定の時代にのみみられたものだと内海3は述べる。ともあれ、そのようなうつ病を内因性うつ病と称した。内因性を説明するには、外因と心因という述語を並べなければならない。「内」と「外」が対としてあるのはいいとして、そこに「心」が入ってくるのは何なのだと言いたい気持ちはわかるが、まあ、そういうことになっていたのだから三幅対をお認めいただきたい。三位一体をはじめ、3というのは非常に調和がいいのであるよ。トロイカは三頭のトナカイでソリを引くのでバランスがいい。ソ連では三頭の首脳で重大な決定をいろいろ下したら
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