の届に内了解かぬところ因があるい高校に入れると思ったのに、それより2ランクばかり下の高校に入ったのがショックだったというのだ。娘本人はその高校に満足しているというのに。要するに現実を受け入れられないのである。抗うつ薬でよくなるとは思えなかった。一応は処方しつつ、それとなく考え方を変えるように突ついてみたものの、本人は「名医」が治してくれるという考えに固執した。症状は改善しないまま1年ほど通院したのち、おそらく他の「名医」を探して転医した。ほっとしたというのが偽らざる感想だが、「名医」に頼るのをやめて現実と向かい合わねば改善はしまい。その後、どうなったことであろうか。なぜ薬が効かないと思ったのかといえば、内因性うつ病ではないだろうと思ったからである。こうした症例でも、抑うつ気分があって云々と症状を拾っていけば、操作的診断ではうつ病になってしまうのだ。抗うつ薬は「現実の壁を前にした落ち込み」に効くとは思わないからである。 ここ20〜30年、操作的診断基準の導入によるうつ病概念の変容も相まってうつ病が2323
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