R6の翻訳ではついに「うつ病」に落ち着いた(ただし、ここでの「うつ病」は「DSM‐5‐TR)」で定義されるもの」である、という注記が添えられている)。もひとつちなみに、来るべきDSM‐け」になりがちなのは、前著『キャラクターが来る精神科外来』7で示したとおりであというか極論すればほとんどすべての精神疾患でうつ状態はみられうるものであり、ここから病因の想定を外したDSM‐Ⅲの「大うつ病性障害(maor depressive disorderにより、うつ病は拡散し、びまん化し、希薄化した。ちなみに「大うつ病」という日本語はかねてから評判がよくなく、DSM‐5‐TXLなどの時代を見据えて、あやつらは5版からローマ数字をやめたようである。DSM‐5でも、その使用法には、診断するには、詳細な臨床病歴をとって、発症に寄与したかもしれない要因を検討し、診断基準に挙げられている症状を単純に照合するだけでは不十分で、患者の示す徴候や症状が正常範囲を超えているか見分けるには臨床修練が必要だ4などと注記されているのだが、操作的に診断するということといささか齟齬が生ずるところでもある。実際、学生などにやらせると「診断基準に挙げられている症状を単純に照合するだる。また、臨床修練を積んだ人たちのためのものなのだから、抑うつ気分とは何か、j
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