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操作的診断基準過の罪そうやってできたのがDSMである。「うつ病」と各々の研究者が称しているものが、みんな違ってみんないい、じゃ困るだろということ。さらに、精神疾患の原因はまだよくわかっていないのだから、外因・内因・心因みたいなあらかじめ原因を特定してしまう考えはやめましょうということになった。前述のように原因の了解可能性についても判断する側の主観が入りやすいところだから、診断基準にそういうことは載せられない。DSMの前身となるようなものは1844年に出版された4ということだが、それはアメリカ精神医学会の前身の草■期でもあったようだ。DSM‐Ⅰがリリースされたのが1952年である。当時はまだアメリカで趨勢であった精神分析の影響が強く、原因を問わずにとにかく誰でもが同じ診断に至るようなものを作ろうというコンセプトでできた、1980年のDSM‐Ⅲ5から世界的な影響力を示し始め、日本でも普及することになる。ところが「うつ」は、正常でもさまざまな状況で生ずるし、うつ病以外の多様な、3131

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