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ことに、まずは制止がある(抑制という訳もある)。やらなきゃならないという気持ちはあっても、体が動かないといったように体験される。行動の必要性について頭では認識していても体がついてこない。神経症性の場合、つまり正常の精神生活における落ち込みの延長線上にある場合には気が乗らないだけである。そして日内変動。これは何らかの日周性の生物学的な要因が関わっている証左であろう。そしてそのような状態は自分の意思でコントロールできない範疇にあるので、患者は自身が病気になったという自覚を持ちやすい。もちろんそこに妄想が加わると、「病気じゃない」「怠けているだけだ」と自ら述べることもまれではないが。さらには自律神経症状はじめ種々の身体症状もまた内因性の特徴である。内因とはOSだと■えたが、精神活動の基盤となるもので、明らかに表に出てくるものではないのであるから、脳梗塞のような粗大な病変ではないものの、何らかの生物学的要因に関わっているものと考えられる。生物学的要因が大きければ、薬物療法や、電気けいれん療法などの他の生物学的治療が効を奏することが期待され、それゆえ臨床的には心理学的水準で生じている神経症性のうつ状態との鑑別が必要である。この鑑別にはいくつかの手がかりはあるが、決定的なメルクマールがない。では、その手がかりをチェック・リストにして、といった今風の安直に走らず、本2929

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