〓参考文献 1) Mckenna RW, et al. Plasma cell neoplasms. Swerdlow SH, et al, eds. WHO Classification of Tumours of 444◀ 2 多発性骨髄腫の類縁疾患Haematopoietic and Lymphoid Tissues. Lyon, IARC ; 2017 : pp254-5.(テキストブック) 2) 安東由喜雄.アミロイドーシスに関する調査研究 厚生労働科学研究補助金 難治性疾患政策研究事業 アミロイドーシスに関する調査研究 平成27年度総括研究報告書.pp1-23, 2016. 3) Jaccard A, et al. High-dose melphalan versus melphalan plus dexamethasone for AL amyloidosis. N Engl J Med. 2007 ; 357(11) : 1083-93. (1iiA) 4) Comenzo R, et al. Autologous stem cell transplantation for primary systemic amyloidosis. Blood. 2002 ; 99(12) : 4276-82. 5) Skinner M, et al. High-dose melphalan and autologous stem cell transplantation in the patients with AL amyloidosis: An 8-year study. Ann Intern Med. 2004 ; 140(2) : 85-93. (3iiiA)(2)ALアミロイドーシス▶総論ALアミロイドーシスは,異常形質細胞より産生されるモノクローナルな免疫グロブリン(M蛋白)の軽鎖(L鎖)に由来するアミロイド蛋白が全身諸臓器に沈着し,臓器障害をきたす疾患である。免疫グロブリン重鎖(H鎖)に由来するものはAHアミロイドーシスと呼ばれ,両者をあわせて免疫グロブリン性アミロイドーシスと呼ぶ。多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症など基礎疾患を伴わない場合を原発性,基礎疾患に伴う場合を二次性ALアミロイドーシスと呼ぶ。しかし,実際には両者の鑑別困難な症例がみられ,WHO分類(2017)では両者をまとめて原発性アミロイドーシスとしている1)。また,病変の広がりによって全身性と限局性とに大別される。本疾患は稀な疾患であり,2014年に実施された全国疫学調査では,2012〜2014年のALアミロイドーシス推定患者数は3,200例であった2)。アミロイド蛋白の沈着は心臓,腎臓,肝臓,消化管,末梢神経など多臓器にわたり,多彩な臨床症状を呈する。確定診断は病理学的所見に基づき,Congo red染色で橙赤色に染まり,偏光顕微鏡下で緑色の複屈折を示すことが必須である。さらに抗免疫グロブリン軽鎖抗体を用いた免疫染色でアミロイドの病型を確定する。病型診断が困難な場合は,アミロイド沈着部位をレーザーマイクロダイセクションで採取し,質量解析を行う。M蛋白の検出には血清・尿の蛋白電気泳動,免疫電気泳動のほか,遊離軽鎖(free light chain:FLC)の測定は感度が高く有用である。本症の予後は不良であり,無治療例での診断からの50%生存期間はおよそ13カ月,特に心病変を有する症例は予後不良である。治療目標はアミロイド蛋白の原因となっているモノクローナルなFLCの産生を速やかに抑制し,臓器機能を温存することにある。自家末梢血幹細胞移植は臓器障害のため治療関連死亡が高いので適応を慎重に検討し,リスクに応じた前処置の減量を考慮し実施することが重要である3-5)。
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