▶総論リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma:LPL)は,低悪性度B細胞リンパ腫の一型であり,小型B細胞リンパ球,形質細胞への分化傾向にあるリンパ球,形質細胞が混在したリンパ系腫瘍と定義される1, 2)。ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(Waldenström’s macroglobulinemia:WM)は,骨髄浸潤とIgM型M蛋白血症を伴うLPLのサブセットとして定義され,LPLの90〜95%を占める。IgM型M蛋白血症を伴うB細胞リンパ腫はLPL以外にも認められるため,診断上,注意が必要である。〓参考文献 1) Vijay A, et al. Waldenström macroglobulinemia. Blood. 2007 ; 109 (12) : 5096-103. (レビュー) 2) Swerdlow SH, et al. Lymphoplasmacytic Lymphoma. Swerdlow SH, et al. eds. WHO Classification of Tu-3リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症Ⅱリンパ腫LPL/WMの約4分の1は無症候性である。骨髄浸潤が高度である場合には,血球異常として貧血と血小板減少が認められる。また,IgM蛋白濃度が高値になると過粘稠度症候群をきたす。この場合,赤血球凝集に伴って,視力障害(眼底網膜静脈ソーセージ様変化)や脳血管障害を起こし得る。自己免疫疾患,寒冷凝集素症の合併や,クリオグロブリン血症,ミエリンに対する抗体活性によるミエリン融解が原因の末梢神経障害,アミロイドーシスを合併し得る。また,後天性von Willebrand病を合併し,凝固障害・出血症状を合併することがある。中枢神経に浸潤した場合Bing-Neel症候群と呼ばれる。IgMが3 g/dL未満,骨髄中の腫瘍細胞の割合が10%未満で,かつ,症状のない場合,形質細胞腫瘍に準じて,IgM monoclonal gammopathy of undetermined significance(IgM-MGUS)と呼ぶが,non IgM-MGUSに比べて進展が速く,年に1〜5%がLPL/WM,その他のB細胞リンパ腫に進展する2)。約90%の症例でMYD88L265P変異があり,約30%の症例でCXCR4遺伝子の変異がある2)。染色体異常として6番染色体長腕欠失(30〜50%)を認める。これらの異常は他のIgM産生リンパ腫との鑑別に有用である。臨床経過は一般に緩徐であり,生存期間中央値は5〜10年以上である。症候性WMの予後予測の指標として,International Prognostic Scoring System for WM(IPSSWM)ならびにrevised IPSSWMが報告されている3)。revised IPSSWMは年齢(66〜75歳が1点,76歳以上が2点),β2ミクログロブリン>4 mg/L,血清LDH>250 IU/L,血清アルブミン<3.5 g/dLによってスコア化され,5年生存割合は,スコア0が95%,1で86%,2で78%,3で78%,4〜5で36%であった。治療の効果判定には,第6回International Workshop on WM(IWWM)の判定規準が用いられており,臨床症状,血清IgM値,画像評価を組み合わせて評価する4)。mours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, Lyon, IARC ; 2017 : pp232-5. (テキストブック) 3) Kastritis E, et al. A revised international prognostic score system for Waldenström’s macroglobulinemia. Leulemia. 2019 ; 33 (11) : 2654-61. (3iiiA) 4) Owen RG, et al. Response assessment in Waldenström macroglobulinaemia: update from the VIth Interna-tional Workshop. Br J Haematol. 2013 ; 160 (2) : 171-6. (レビュー)(lymphoplasmacytic lymphoma/Waldenström’s macroglobulinemia:LPL/WM)
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