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らの優等生体質なので、不良感が漂っている人がうろうろしているだけで全くリラックスできない。というか普通に怖い。深夜、髪の毛の色のおかしい若い男女が車座になって顔をつきあわせていて、なにかの儀式をしているように見える。散乱したゴミが舞っている。怖い。歌舞伎町を抜け、新宿六丁目の交差点から明治通りを歩いて東新宿駅に向かう。向かいからホテルのパジャマを着たままの女性3人組が歩いてくる。歌舞伎町散歩、あるいは肝試し、あるいは。いずれにしても私は、特に理由もなく歌舞伎町を歩いていた。やることはたくさんあるのだが、それから逃げていればなにもすることはないので暇なのである。家庭を持てばこうはいかないだろう。育児を放棄して歌舞伎町に繰り出し、飲酒をしたりキャバクラに行ったりするならまだしも、ただ歌舞伎町をぶらぶら歩いていたらそれこそ意図不明で怖い。妻も私がこのような異常行動に及んでいると知ったら、怒りよりも先に不気味に思うだろう。私に妻はいないのだが、それでもだ。

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