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業をある程度継続していると、「◯◯病の軽症例」と、そうではないものの区別ができるようになってくる。治療がうまくいくようになる。今回は診療ではないのだが、まあ手法としては、このような流れを踏んだ。つまり、最初は全て自分と同じクラスタにみえたわけだが、だんだんこの人は違う、この人も違う、となって、ある個人的な視点からみて均一な集団が「個人のなかで」形成されていく。そしたら今度は、この均一な集団を構成する人を観察し、共通する特徴を見出していくわけである。上述した5つの特徴は、このような過程を経て抽出された。さて、もうひとつの問題としては、そもそも私の自己研究を、どうして書籍にする必要があるのか、という公開の必然性についての問題である。ひとつは、あるパーソナリティを持つ人の研究という意味合いである。パーソナリティ障害の研究というのは従来、受診した患者や、研究参加を希望した一般人に対して行われてきた。そこにはそもそも「受診している」「参加を希望している」という選択バイアスがあり、受診したり研究参加を希望していない一般人の特徴は含まれていない。3232

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