する)。しかしよくよく観察していくと、これは違ったなとか、考えすぎていたな、たちを観察する、という手法をとっている。これには大きな問題がいくつかある。ひとつは、私個人の主観をもとに判断しているため、ここに記したことは「似ていてほしい」人に自分の問題を投影しているだけという可能性があることである。診療場面でも、相手のなかに自分のみたいものをみてしまうということは非常によくあることであり、この研究においてもその要素を完全に排除することはできない。この問題については、偽者クラスタというものが存在すると仮定して行った日々の生活や診療において、認識の微調整を行うことである程度の修正を得たと思っている。少し話はずれるようだが、これは医師がある疾患の「軽症例」の特徴を身につけるときの感覚と似ている。「軽症」というのは、客観的な診断基準は満たさないものの、その病気特有の表現がわずかに発露されている状態である。病歴や症状、検査データなどを総合的にふわっと判断して「◯◯病の軽症例」と判断するわけだが、これは主観が大きく関係する作業である。それを意識すると最初は全ての病気が◯◯病の軽症例にみえる、という時期が必ずある(ここで止まるとトンデモ医師が誕生という例がいくつもでてきて、その度に認識が修正されていくことになる。この作3131
元のページ ../index.html#15