き込んでいった。次に、この抽出した項目のなかで、「2人+私」のコアとなるような特徴のみを残した。そしてこのコアとなる特徴を満たす人が世間にどれくらいいるのか、診察の場やプライベートを問わず探していった。一体私は論文も書かずになにをしているのだろうか。そのような問いが何度も脳内を去来した。しかし私は惑わずに調査を続けた。すると、驚くべきことに、この2人ほどではないものの、まあまあな数の人が、このコアとなる特徴を持っていることに気づいた。彼ら彼女らは、ある相似形のコミュニケーション様式や、世間に対する態度を持っているようにみえた。私はこの私に似た人たちに「偽者クラスタ」という名前を勝手につけた。そこで満足してこの件については忘れてしまえばよかったのだが、今度はこの偽者クラスタが、精神医学・心理学的には一体なんなのか、ということが精神科医である私としては気になってきた。私が「偽者クラスタ」と認識した人々は、ひょっとしてなにかの病気なのではないかと思ったのである。しかし、偽者クラスタのなかで、非診察場面で出会った人や私は、精神科の受診2828
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