感」を放つことで人と関わるという技法の現れにすぎなかったのではないか、そう何年か前に出会ったこの２人のことを、私は完全に忘れていた。しかし、コロナ禍で自宅に蟄居し、全てのやる気をなくしてNetflixで『愛の不時着』という韓国ドラマをぼんやり視聴しているとき、いや、もっと正確には、世を舐めてきた韓国の詐欺師が本物の愛に目覚め、北朝鮮の令嬢を命を懸けて救出するために自らの航空券を歯で破って引き返すシーンを観たとき、なぜか、突如、天啓のようにある仮説が思い浮かんだ。これって恋？と思ったけど、そうではなかった２人と私は似ているのではないか。私も彼女たちも、「本物感」によって人とコミュニケーションをとるという術を用いているだけで、実は偽者というか、大したやつではないのではないか、そう思ったのである。妙な親近感を抱き、一を言えば百伝わる感じが互いにあったのも、その「本物いう気がした。暇を持て余していた私は、今日こそは取り組もうと思っていた科学論文の執筆を放擲してコピー用紙を取り出し、２人＋私の共通点について抽出、これを白紙に書 2727
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