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viii  老年腫瘍学領域では,GA/CGAなどの機能評価で問題となる障害がなく,非高齢者と同等にがん治療が可能な状態。老年腫瘍学領域では,GA/CGAなどの機能評価で問題となる障害があり,非高齢者と同等のがん治療が困難と考えられるが,がん治療の強度を減弱したり,より毒性の少ないがん治療に変更したりすることにより治療が可能な状態。老年腫瘍学領域では,GA/CGAなどの機能評価で問題となる大きな障害があり,がん治療が困難と考えられる状態。ベストサポーティブケアが考慮される。老年腫瘍学領域では,GA/CGAなどの機能評価で問題となる障害があり,非高齢者と同等のがん治療が困難と考えられる状態。(「高齢者がん診療ガイドライン 2022年版」をもとに作成)fitvulnerable/pre‒frailfrailunfit本書で使用する用語の定義高齢者機能評価(geriatric assessment;GA)と高齢者総合機能評価(comprehen-sive GA;CGA)について 高齢者の機能評価のことを老年医学領域ではCGAとよんでいるが,老年腫瘍学領域ではGAとよんでおり,これは両者の歴史的背景が影響している。高齢者の機能を規定された手法によって評価するという点で両者は共通しているが,CGAは多面的な評価を指し,検出された問題点に対する介入を行うまでの経時的・総合的な評価を指すこともある。一方,GAは限定的なスクリーニングを実施したものを指すことが多いが,GAとCGAの間に明確な定義の違いはない。現時点ではGAとCGAは同義として扱い,本書では文献引用で限定されている場合を除きGA/CGAと併記する。fit・vulnerable/pre‒frail・frail 2016年に日本臨床腫瘍研究グループ(Japan Clinical Oncology Group;JCOG)において,高齢がん患者を対象とする臨床研究を行う際の考え方・方法論に関する指針(JCOG高齢者研究ポリシー)が示された。このなかで,EORTC(European Organisation for Research and Treatment of Cancer)Elder-ly Task Forceの提唱する概念に準じてがん治療の対象となる高齢者か否かを“fit”と“unfit”に大別し,“unfit”症例を“frail”,“vulnerable/pre‒frail”に細分化することが提唱された。これらの分類を用いて高齢がん患者の治療適応を判断することで,高齢がん患者に対し過侵襲となる治療を防ぎ,適切な治療の恩恵を被ることが期待される。フレイル(frailty)とfrailの混乱を避けるために フレイル:日本老年医学会が英語のfrailtyを「フレイル」と日本語訳し,自立している状態と要介護状態の間に位置し,栄養・運動療法などの介入により自立状態に回復可能な可逆性のある状態としている。本書では,「フレイル(frailty)」とカタカナで記載した箇所は,日本老年医学会の定義に基づく状態を指す。 frail:腫瘍領域のfrailは,上記のJCOG高齢者研究ポリシー(2016年)で示された定義で,カタカナのフレイルと混乱を避けるため“frail”と英語で記載する。ただ,発音は同じなので要注意である。

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