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6.1 NTRKとは(表6—1) 6.2 NTRK遺伝子異常NTRK 1OBHD;TRKB;DEE58;trk‒B;EIEE58;GP145‒TrkB9q21.3328https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/4915NTRK 2NTRK 3TRKC;GP145‒TrkC;gp145(trkC)15q25.335https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/4916表6—1 NTRK遺伝子遺伝子同義語遺伝子座exon数6.2.1 遺伝子バリアント,遺伝子増幅 NTRK遺伝子バリアントは,大腸がん,肺がん,悪性黒色腫,急性白血病などで報告されているが,いずれもTRKキナーゼ活性はwild typeと同程度かむしろ低下している(表6—2)6)。NTRK遺伝子のミスセンスバリアントと悪性腫瘍発生との関連については確立されていないが,キナーゼ領域に関わる遺伝子のミスセンスバリアントが認められると,TRK阻害 がん遺伝子としてのNTRK1遺伝子は1982年Pulciani,Barbacidらにより,大腸がん組織を用いたgene transfer assayの中で発見され,OncBとして報告された1)。現在ではNTRK遺伝子ファミリーはNTRK1~3までが知られている。NTRK1~3はそれぞれ受容体型チロシンキナーゼであるtropomyosin receptor kinase(TRK)A,TRKB,TRKCをコードする。TRKAは神経系に発現し,nerve growth factor(NGF)が結合するとリン酸化される2,3)。TRKBに対してはbrain—derived neurotrophic factor(BDNF)とneurotrophin(NT)—4,TRKCに対してNT—3がそれぞれリガンドとして知られる。NT—3は他のTRKにも結合するが,TRKCへの親和性が最も高い。TRKAは疼痛や体温調整,TRKBは運動,記憶,感情,食欲,体重のコントロール,TRKCは固有感覚に影響する。TRKにリガンドが結合すると,細胞内チロシン残基の自己リン酸化が起こり,下流のPLC—γ経路,MAPK経路,およびPI3K/AKT経路などの活性化が起こり,細胞の分化,生存や増殖などが引き起こされる4,5)。 NTRK遺伝子変化には様々なものがあるが,悪性腫瘍の治療上重要なのはNTRK遺伝子のミスセンスバリアントとNTRK融合遺伝子である。Ⅲ NTRK(neurotrophic receptor tyrosine kinase)MTC;TRK;TRK1;TRKA;TRK‒A;p140‒TrkA1q23.119https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/4914NCBI Entrez Gene39NTRK(neurotrophic receptor tyro-sine kinase)Ⅲ

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