E腎肝脾心CAGBDF心肺Z心肺脾体表津液第2章 症例Z 営衛調和で巡らせる れることが多いのですが、■根湯には、その構成から、麻黄剤とは違う顔があることをご紹介します(図2-33)。■根湯の一般的な解説 まず、■根湯が適応となる感冒の症候は、悪寒、発熱、無汗、頭痛、項部硬直などが挙げられます。傷寒論に記載されている症候です。これを丸暗記するのではなく、それらが適応となる訳を考えてみましょう。■根湯が適応する 感冒の病態は、外邪が■理から侵入しようとする際に、これを追い払おうとする宣散の発汗力よりも外邪の勢いが強いために外邪が■理をふさぎ、体表の気の流れを滞らせ、さらに内に侵入しようとして、邪正闘争を起こすものです(図2-34)。です。に集まるからです。肝気は熱を伴い、外邪との闘いも熱を生じます。衛気の増強によって気や熱や津液が表層に多く集まりますが、外邪と抗争しているために裏に循環できずに体表に充満するため、体節痛、凝り感、腫脹感を生じます。こうした凝り、痛み、腫脹はまず外邪が侵入しようとする表位(頭部、項背部、関節、鼻、皮膚)に生じます。表位に邪や生体機能が密集するので表実証と表現します。正気の流れは体表に盛んに向かいますが、衛気は外邪を外に向けて発散できないので汗は出ません(図2-35)。悪寒は、外邪の侵入に対抗する生体防衛機能の表層における外邪との抗争の反応発熱するのは、外邪と対抗する衛気(防衛の気)増強のために肝気が体表に盛んA桂皮:腎陽を軽度増大腎気を体表まで尖通引火帰原するB芍薬:粛降を調整表の津液を裏に回収津液を増すC生姜:脾気を表層に上昇発散D大棗:脾胃の陰液を増大するE甘草:脾気を強め正気補強養陰F麻黄:正気を心肺まで重厚に引き出す陽気発越G■根:宣散を増強 辛凉解表(津液を増す)図2-33 ■根湯の構成生薬と作用部位水精微殻衛気肝(熱)腎陰腎陽図2-34 感冒の病態「外邪」が体表を覆い侵入しようとして「■理」を塞ぐ外邪悪寒、頭痛、関節痛 47作用機序と適応病態 麻黄を含む方剤を通称、麻黄剤といい、その代表として■根湯や麻黄湯が挙げら
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