津液腎脾体表脾心肺心BA肝心肺この状態に対して、■根湯でその解決を図ります。表層から侵入するものに対抗するのですから、その作用の主体は邪を追い払う発散解表にあり、作用の舞台は肺です。肝の外に向かう力の援助が必要です(図2-36)。以上の作用で裏に存在する気や津液は激しく外向きに動くことになります。この激しい動きを支えるために、脾気の確保が必要になります。大棗、甘草は脾気を膨らませ津液を増加させ、発散の流れに乗って発汗する津液を底支えします(図2-37)。これらの構成から外感病において■根湯を必要とする病態は、①邪を追い払う肺気が弱かっ■根は、表層に充実させた気を効率よく体外に発散させ、邪を追い払います。麻黄は脾気を表層に引き出す「陽■■気■発■■越■■」の作用を持ちます。深部の正気を表層に導くのは、桂皮と同じですが、桂皮のように縦方向に引き出すのではなく、体表に沿った気の流れを盛んにさせながら表層に向かいます。気血津液を伴ってボリュームのある重厚な引き上げの作用です。生体機能に必要な条件を全て引き連れていくような作用で、最終結果肺気が盛んになり、外邪攻撃に貢献します。通過途中の生理機能も促すので、動悸を感じたり、頭部に上がってほてり、不眠、興奮などの症状になったりすることもあります。脾気を大量に表層に引き出すために、胃腸の弱い人では胃腸症状を生じることがあります。桂皮や生姜は腎気や脾気を体表まで引き出し、発散に貢献します。こうして外向きの力を強める一方で、芍薬で表層にある津液の内向きの流れを整えて、外邪による表層の流れの充満を軽減させるとともに、発散力を有効にさせるために深部⇔表層の循環を確保します。外邪を排除できない⇒無汗図2-35 感冒の無汗の病態図2-36 ■根湯の発散成分図2-37 ■根湯の作用機序水精微殻衛気肝(熱)外邪腎陰腎陽CDA麻黄:正気を心肺まで重厚に引き出す陽気発越B■根:宣散を増強辛凉解表(津液を増す)C桂皮:腎陽を軽度増大腎気を体表まで尖通引火帰原するD生姜:脾気を表層に上昇発散麻黄生姜桂皮大棗甘草芍薬■根48
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