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オピオイドが投与されているにもかかわらず,適切な鎮痛効果が得られていない,がん疼痛のある患者に対して,オピオイドとアセトアミノフェンの併用を条件付きで推奨する。1 1薬剤に関する臨床疑問解 説 本臨床疑問に関する臨床研究としては,ランダム化比較試験が5件ある。すべての研究で,強オピオイドが併用されており,アセトアミノフェンのみを投与した研究はなかった。1件の研究ではモルヒネからメサドンへオピオイドの変更も同時に行われており,アセトアミノフェンのみの効果は検証できていなかった。▋がん疼痛の緩和 すべての研究で,アセトアミノフェン(高用量:投与量3,000~5,000 mg/日)を強オピオイドに追加投与しても,さらに痛みが緩和されることはないか,鎮痛効果はわずかであった。▋QOL,有害作用 QOLは3件で評価されており(QLQ‒C30,AQEL,VAS well‒being),両群間の差は認められなかった。 有害作用は,4件で評価されており,全般的な有害作用の発生頻度は,両群間に差はなかった。眠気のみアセトアミノフェン併用群で多く,悪心,認知機能障害,便秘には差がなかった。▋バイアスリスク 割り付けの隠蔽(コンシールメント)の方法の記載なし(2件),医療者の盲検化なし(2件),アウトカム測定者の盲検化の記載なし(1件),ITT解析非実施(1件),アウトカム不完全報告(脱落率5~20%:2件,20%>:3件)を認めた。そ1001C2CⅢ章 推 奨(強い推奨,弱い根拠に基づく)(弱い推奨,弱い根拠に基づく)条 件オピオイドが投与されているにもかかわらず,十分な鎮痛効果が得られない,または有害作用のため,オピオイドを増量できないとき。がん疼痛のある患者に対して,アセトアミノフェンの投与は推奨されるか?推 奨がん疼痛(軽度)のある患者に対して,アセトアミノフェンの投与(初回投与)を推奨する。CQ

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