Ⅱ-15.低血糖  

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リル

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(10)1錠朝/昼1回を3カ月に1度処方している.その際に

難病管理料を算定している.

本書では,SU薬やインスリンの副作用による低血糖以外の原因

について詳細な説明はしないが,血糖を上昇させるシステムとし
て,ACTHと副腎皮質ホルモン(コルチゾール)や交感神経系,グ
ルカゴン(肝臓への作用のみ),成長ホルモンの役割は重要である.
悪性腫瘍では,食欲不振からの肝グリコーゲンの枯渇により,血糖
が上昇しにくいことはよくある.また,インスリノーマやIGF-1

/

IGF-2の上昇をきたす腫瘍もある.また,白血病では採血から測
定までの間に試験管内でブドウ糖が消費され,特に血清糖の場合に
極端な血糖値(1桁台)を呈することも経験する.

ステロイド製剤は,作用している間は血糖を上昇させるが,作用

が切れると内因性の副腎皮質ホルモン作用が十分でないため,低血
糖を起こしやすい.もともと,ACTH欠乏のある本症例のような
ケースにも遭遇することもある.

低血糖への対応

・原因を調べる(薬物副作用,悪性疾患の関与,内分泌的異常な

ど)

・原因排除と原因に対する治療(原因により対応)
・対症的治療
1)症状の理解を得る(血糖上昇反応で手の震え,冷汗,動悸と

いった交感神経亢進症状が出現.ただし,低血圧でも反応的
に同様の症状もある.放置すると脳が動かなくなり意識がな
くなり事故につながる)

2)ブドウ糖の準備(10gで用意.約50mg

/

dL血糖が上昇し約1

時間は効果あり)

3)グルカゴン注射の処方(家族に説明が必要.グルカゴン製剤は