「シマウマ」を探すとき

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れば患者さんは助かります。

あとはちょっと身近な病気で,菊池病。基本は,若年者の頸部のリンパ節

炎ですが,時に熱が遷延して不明熱化したり,リンパ腫との鑑別が問題に
なったり,再発する過程でSLEの診断基準を満たすようになったりします。
実際,ちょっと白血球とか下がったりもするんですよ。珍しいと,ヘモファ
ゴ(血球貪食症候群)を起こしたり,無菌性髄膜炎を起こしたり。

さて,そんな菊地病の場合はどうします? 血液内科? ちょっと違います

よね。膠原病科。うーん。ステロイド使うときだけ? うーん。「リンパ腫が
否定できません!」って誰かが言ったらどうします?

あと最近はIgG4関連疾患。普通に多臓器にわたっているから,何科とい

われたら本来困りますね。昔は胆道病変・膵病変というカタマリで捉えられ
てもいたから消化器内科は診ていたと思いますが,近年全身疾患として捉え
られて来ているのでこれがなかなか。「IgG4-related “systemic” disease」
というくらいですからね。

からだ

体中に腫瘤や隆起性病変をつくって,そこでIgG4陽性の形質細胞浸潤

を認める疾患で,血清のIgGやIgG4も上がります。いま「身

からだ

体中」と言

いましたが,なぜか脳や軟部組織や消化管粘膜はスペアされるって知ってま
したか? 疾患概念の成立には日本からのたくさんの重要な報告が貢献して
います。誇らしいですよね。

この疾患を海外でリードしている米国の中心人物は,ハーバードのJohn 

Stone先生

*16

といって,Rheumatologyの先生なんですよ。だから(?),

この疾患はなんとなくリウマチ学に取り入れられた気がするんです。これ,
何気にすごいことだと思います。Rheumatologyというのは本来,筋・骨
格・関節・軟部組織などを相手にした臨床内科学ですから。

一方, 日本のリウマチ科は免疫内科的な様相ですよね。日本的にはG4

*17

*16

New England Journal of Medicineで総説も書いています

(PMID:22316447)血管炎の先生だったはずですが,途中から

IgG4に魅せられたようです。

*17

玄人は,IgG4関連疾患のことを「G4」と呼びます。さあみなさ

んも使ってみましょう。