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不明熱とはなにか
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Ⅰ
章
F
e
v
e
r
そ
の
本
質
に
つ
い
て
明熱」ならではの鑑別診断を冷静に思いつくことができる。
また,十分に鑑別診断が思いつかないのであれば,さらに知識と経験があ
る医師に助けを借りることもできる。
不明熱を攻略するにはまずは得られた
背景情報から
,類型化することからはじめる
最も重要なことは,患者背景をよく検討することである。実は,患者背景
ごとに不明熱となる頻度の高い疾患はある程度決まっている(
Table 7
)。まず
はその頻度が高い疾患を念頭に診療を進めていくのである。
Table 7
●
■
背景ごとに分けた不明熱の鑑別疾患の特徴
古典的不明熱
◦
感染症
,膠原病,悪性腫瘍,薬剤熱
院内発症不明熱
◦
カテーテル関連血流感染症
,
◦
挿管関連の副鼻腔炎
,偽膜性腸炎,見逃されている膿瘍
◦
薬剤熱
,深部静脈血栓症・肺塞栓など
好中球減少症に
伴う不明熱
◦
いわゆる発熱性好中球減少症の状況で発症する細菌感染に
よる膿瘍性病変
◦
ハイリスク患者では播種性カンジダ症
,アスペルギルス症
など
◦
非感染性では薬剤熱
・腫瘍熱など
◦
真の原因不明のものの一定数存在
◦
非感染性の不明熱は好中球回復とともに多くの場合は解熱
HIV感染症関連の
不明熱
感染性
◦
抗酸菌
(HIV
関連で最多の原因
)結核,非結核性抗酸菌
(
Mycobacterium avium complex
)
◦
Pneumocystis pneumonia
◦
CMV
感染症
◦
中枢神経トキソプラズマ
◦
クリプトコッカス
非感染性
◦
薬剤熱
◦
免疫再構築症候群