07136T
4/11

はじめに乳腺における画像診断の難しさは,病変の多彩性,しかも良性病変と悪性病変が類似の形態を示すことが多いことに起因する。病変の組織像を頭の中に叩き込んで整理して,組織像を思い浮かべながら画像を読影することが,画像診断の質を向上させるためには必要である。いきなりカテゴリー判定をするのではなく,画像所見により鑑別すべき組織型を可能性の高いものから挙げる訓練を行うことが非常に大切である1)。したがって,日本乳癌学会編集の『乳癌取扱い規約』2)にある「乳腺腫瘍の組織学的分類」の概要,とりわけ頻度の高い組織型の名前は記憶する必要がある。『乳癌取扱い規約』では,乳腺腫瘍は大きくは,Ⅰ. 上皮性腫瘍,Ⅱ. 線維上皮性腫瘍,Ⅲ. 軟部腫瘍,Ⅳ. リンパ腫および造血器腫瘍,Ⅴ. 転移性腫瘍,Ⅵ. その他に分類される。上皮性腫瘍には乳癌,乳頭腫など,線維上皮性腫瘍には線維腺腫,葉状腫瘍など,その他には過誤腫などが分類されている。乳腺腫瘍の組織学的分類の詳細は『乳癌取扱い規約』に譲り,ここでは,『マンモグラフィガイドライン』3)の「マンモグラムの読影の実際」に即して,絶対に押さえておきたい組織型の組織像を提示し解説する。乳癌取扱い規約第 19 版の変更点乳癌取扱い規約第 19 版(2025 年)の乳癌,特に乳管癌の組織学的分類の概説を記しておく。乳管癌は間質浸潤の有無とその大きさにより分類される。浸潤がなければ非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ),1 mm 以下の浸潤があれば微小浸潤癌(microinvasive carcinoma),1 mm を超える浸潤があれば浸潤性乳管癌(invasive ductal carcinoma)となる。浸潤癌は,① 浸潤形態と間質量,② 非浸潤癌巣の種類と量,でその形態が表現される。浸潤形態と間質量により,充実パターン(solid pattern),中間パターン(intermediate pattern),硬性パターン(scirrhous pat-tern)と分類される。ここでのポイントは,浸潤癌巣の腺腔形成性は問わないことである。第 17版までの乳頭腺管癌,第 18 版の腺管形成型からの完全脱却である。腺管形成は病理学的グレード分類でのみ表記されることとなる。非浸潤癌巣の種類と量に関して画像診断で重要な点は,乳管内癌巣が主病変の大部分を占めるものは predominant intraductal component(+)と表記されることである。腫瘤の境界は,「明瞭平滑」,「微細分葉状・微細鋸歯状・境界不明瞭」,「スピキュラを伴うもの」1)粗大石灰化を有するもの境界明瞭平滑な腫瘤で粗大石灰化を有するものは,線維腺腫(fibroadenoma,図 1)である。線維腺腫は,線維上皮性腫瘍の中に,葉状腫瘍とともに分類される良性病変である。線維腺腫には,管内型(intracanalicular type,図 2),管周囲型(pericanalicular type,図 3),類臓器型(organoid type,図 4),複合型(complex type)〔乳腺症型(mastopathic type,図 5,6)〕があるが,これらの混合型であることが多い。粗大石灰化を有する線維腺腫は管内型であることが多く,上皮成分Ⅰ  腫  瘤の 3 つに大きく分けられる。114   ● 9 章.病 理 1 境界明瞭平滑な腫瘤

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る