4A62IMRTとは強度変調放射線治療(intensity modulated radiation therapy:IMRT)とは、放射線の分布を腫瘍に沿った複雑な形状にするために、空間的に不均一な照射ビームを多方向から照射する技術です。とくに放射線治療の標的が複雑な形状で、温存すべき正常組織と近接している場合に力を発揮するので、頭頸部がんや前立腺がんに対してよく用いられます。解説病巣が球形に近い場合は、いくつかの方向から放射線を集中すれば腫瘍に選択的に放射線を分布させることができます。ところが実際には、放射線を当てたい範囲(標的=がん)は凹凸があって、しかも放射線を当てたくない範囲と複雑に入りくんでいることが多いです。それに対処できるように開発されたのが強度変調放射線治療で、複雑な形状の標的に沿った形に放射線を分布させます。これは、治療装置の照射口についた絞り装置を用いて強弱をつけた形のビームを照射し、またそのビームの強さを時間的に変化させながら照射することにより、複雑な形に添った照射を行うことが可能になりました。多くの方向から放射線を集中させる点は定位放射線治療と同じなので、図5にその違いを示しました。強度変調放射線治療では不均一な放射線を照射することにより、標的の形に合わせて放射線を分布させることができます。図5定位放射線治療(左)と強度変調放射線治療(IMRT)(右)の概念図A 定位放射線治療 B 強度変調放射線治療複雑な形でも線量を集中させることが可能強度変調放射線治療(IMRT)について教えてください。
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