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● 図は,恐ろしさ因子を横軸,未知性因子を縦軸に,あらゆるリスク認知をまとめたスロヴィックのモデル ● たとえば,上図の「核兵器」というキーワードの場合,広島長崎の原爆投下を経験している日本人としては恐ろしさ因子が高い一方,原爆に関する歴史的教育を受けているため未知性因子はあまり高くないことがわかる。 ● また,電子レンジについて,電磁波を用いていると理解した上で使っている人は少ないため未知性因 ● このようにリスクには性質があり,未知性因子や恐ろしさ因子が高いリスクは無知・誤解により本来のリスクより高く感じてしまう場合がある。そのため,正しい知識の提供により誤ったリスクの認識を補正することも重要である。これをリスクコミュニケーションという。 ● リスクを正しく評価・管理し,正しくリスクと付き合っていくためにはリスクの特性を理解する必要がある。これをまとめてリスク分析という。リスク分析は「リスク評価」「リスク管理」「リスクコミュニケーション」の3つの要素からなる。 ● リスク評価とは,あるリスクを特定・分析することである。放射線被ばくの場合,「有害事象が生じない量(たとえば組織反応[確定的影響]のしきい値や許容できる被ばく線量)」との境目を見つけ出し,そのリスクの大きさから対応の必要性や優先度の評価をすることである。元となるデータは科学的知見であり,評価にあたっては客観性を保ち,中立公正に行うことが重要である。リスク評価はそのリスクの専門機関により実施される(放射線の場合はICRP,WHO等)。 ● リスク評価の結果に基づき,実際のルール(放射線の場合なら線量限度,摂取基準等)を決めるのが ● リスク評価,リスク管理の結果,リスクの情報を共有し意見交換をすることをリスクコミュニケーショ高低高166電子レンジ水道水の塩素避妊経口薬カフェインアルコール飲料直滑降スキー自転車(ICRP, WHO等)放射線被ばくによる科学的知見リスク評価の実施である。子が高い一方,日常から使用しているため恐ろしさ因子が低いことがわかる。リスク評価リスク管理である。リスク管理は国や地域ごとに実施される。ンという。(Slovic P:Perception of risk. Science 236:280-285. 1987.より引用改変)アスベスト水銀自動車排気ガスタバコ超高層ビル火災花火自動車事故拳銃客観的中立公正(厚生労働省, 原子力規制庁,関連学会等)関係者とのリスク情報の共有・意見の交換(意見交換会,パブリックコメント)遺伝子工学放射性廃棄物原子炉事故(厚生労働省, 原子力規制庁等)リスク評価結果に基づき国民世論線量限度, 摂取基準等を決定核兵器費用対効果技術的な事項▲ リスク認知地図▲ リスク分析(放射線被ばくの場合)未知性因子リスクコミュニケーションリスク管理恐ろしさ因子

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