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疫学データの基礎第5章数常異体色染のりたあ胞細21001356●放射線被ばくによる染色体異常解析でしばしば用いられる二動原体染色●通常,染色体は短腕,長腕,動原体より構成される。●二動原体染色体は,2つの正常な染色体が放射線により切断された際,それぞれ動原体を持つ部分の染色体同士がくっついて修復してしまい,2つの動原体を持つ染色体を指す。●環状染色体は,1つの正常な染色体が放射線により切断された際,短腕と長腕をつなぐように修復してしまいリングを形成する染色体を指す。●2つの染色体異常のうち,二動原体染色体の数を解析するのがスタンダードである。その理由として,二動原体染色体は安定性の観点や,顕微鏡で形状を比較的容易に識別できるため,国際標準化機構(ISO)や国際原子力機関(IAEA)でも採用されている。●左図は横軸に被ばく線量,縦軸に細胞あたりの染色体異常数を表したグラフ(標準曲線)である。●原子力災害等が起こったとき,放射線業務従事者以外は個人被ばく線量計をつけていないため,被ばく線量がわからない。●そこで,放射線による染色体異常数を解析することで被ばく線量を評価する「生物学的線量評価」手法が開発された。●被ばくした人の血液を採取し,染色体異常数をカウントすることで,標準曲線から被ばく線量を推定することが可能となる。●標準曲線の形は被ばくしたときの状況(線量率効果や線質効果等)により異なるため,状況に合わせて標準曲線を作成することでより精度の高い被ばく線量推定が可能となる。3 知っておきたい疫学データ155短腕動原体長腕①正常な染色体に 放射線を照射①正常な染色体に 放射線を照射1.50.5②DNAが切断された 染色体②DNAが切断された 染色体標準曲線24被ばく線量[Gy]③誤った修復で 二動原体染色体 を生成染色体断片③誤った修復で環状 染色体を生成染色体断片染色体異常染色体異常を用いた被ばく線量評価体と環状染色体について紹介する。columncolumn

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