9

代謝性骨疾患

459

その他の代謝性あるいは類似疾患

関節病変

滑膜・関節内構造・靭帯周囲へのアミロイドの沈着により,関節炎類似の変化を呈す

る.アミロイド結節は,肘頭,手関節周囲に多く,手根管内のアミロイド沈着により手
根管症候群をきたす.

Paget病

原因不明の骨疾患で,slow virus感染とする説が有力である

 23)

.発生頻度には大きな

地域差があり,わが国ではきわめてまれとされてきたが,現在は癌転移のスクリーニン
グに際してみられることがある

 24)

.著しい破骨細胞の活性化により,骨梁の急速な吸

収が起こる.頭蓋では境界明瞭な前頭・後頭の骨吸収に始まり,それが全体に及ぶ(os-
teoporosis circumscripta)(図37).長管骨では,関節軟骨下に始まり骨幹端,骨幹に
及ぶ.初期は“blade-of-grass”あるいは炎状と表現されるようなV字状や楔状の境界
明瞭な骨吸収としてみられる(図38).やがて骨吸収の活性が低下し,骨芽細胞活性が
上昇するとともに骨梁の肥厚,スリガラス状変化,そして皮質の肥厚,骨の膨隆が起こ
り,硬化像が主体となる(図39).どの骨にも起こり得るが,骨盤(30〜75%),仙骨(30
〜60%),脊椎(特に腰椎,30〜75%),大腿骨(25〜35%)などに好発する.

図37

Paget病(年齢性別不詳)osteoporosis

circumscripta頭蓋側面像

前方に境界明瞭な骨吸収を認める(→).

図38

Paget病(67歳女性)

下腿正面像

初期の骨吸収像が脛骨遠位部に
みられる(blade-of-grass)(→).