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Part 1 MR

2

● 

外部磁場がかけられたスピンは,上向き
か下向きに並ぶことは前述したが,それ
ぞれのスピンは,

磁場の方向を軸として

コマのような回転運動

をしている。これ

歳差運動

と呼ぶ。

● 

歳差運動の周波数は左式で表される。こ
の周波数のことを

ラーモア周波数

と呼

ぶ。同じ原子核の場合は,外部磁場の強
度に比例して周波数が高くなる。

ω

0

=γ

B

0

ω

0

2

π

f

0

f

0

γ

B

0

2

π

B

0

N

S

ω

0

( f

ラーモア周波数

 

0

rad/s

 f 

0

Hz

 B

0

TeslaT

 

1

H

42.58MHz/T

42.52

Mrad/Ts

267.5Mrad/Ts

ボルツマン分布(Boltzmann分布)

上向きと下向きのスピンの割合は以下の式によって決まる。

種々の環境によるスピンの状態を下図に示す。

B

0

T

300

27

℃)

T

300

27

℃)

B

0.1T

T

0

(-

273

℃)

T

300

27

℃)

B

0.5T

B

0.1T

スピンはバラバラ

ある程度スピンが揃う。
ただし,上向きと下向
きのスピン数の差はわ
ずかであり,巨視点磁

M

も小さい。

M

M

M

さらに

強い磁場を

かけると

温度を
下げると

③は②よりも

5

倍の磁場がかか
っているため,
巨視的磁化

M

5

倍となる

(②よりも上向

きと下向きのス
ピン数の差が多
い)。

絶対温度ゼロで
は,すべてのス
ピンが磁場方向
を向くため,か
なり大きな巨視
的磁化

M

とな

る。

磁場が
かかると

N

1

N

2

expΔE

kT

exp

1

γ

hB

0

kT

γ

hB

0

kT

N

1

:基底状態にある磁気モーメント

N

2

:励起状態にある磁気モーメント

E

:エネルギー準位差=

h

×

f0

(共鳴周波数)

Δ

h

(エイチバー):

h

:ブランク定数

6.626

×

10

34

J

s

k

:ボルツマン定数

1.381

×

10

23

J/K

h

2

π

T

:絶対温度

T

k

)=

t

(℃)+

273.15

B

0

:外部磁場の強さ(

T

Tesla

γ:磁気回転比

 ●

例)27℃,1.5 Tにおいては,

 N

1 

 N

2    

=1+

(6.626×10

-34 

J・s×42.58 MHz/T×1.5 T)

(1.381×10

-23 

J/K)×(273.15+27) 

=1.0000102