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臨床QA
臨床QA
3.1
放射線治療の流れ
外部照射法の流れについて,WHO:Radiotherapy Risk Profile.に基づき,表3.1
に示した
1)
。
まず臨床腫瘍学的な判断として,治療方針(根治,緩和等),手術,化学療法,
その他の治療との組合せの方法と利害得失,時期,量などが判定される。
外部照射法では分割照射を基本とし,基本的には線量・位置の決定と正確な治
療体位再現の確認にある。またその計画が施設としての方針にも合致することの
承認を得るために,各患者に対する照射開始の段階で線量・照射法について(カ
ンファレンスなどにより)放射線治療部署内での合意を得ておく必要がある。
治療計画とは,治療方針の立案から線量計算及びその評価(DVH,TCP,
NTCPなど)に至る一連の行程を指し,表3.1の3~6に該当する。今日では放
射線治療計画CT,および治療計画装置により実施される。
上述のように外部照射法では分割照射を基本とする。患者に対しては,患者の
知る権利に基づき,放射線治療の目標や効果と短期的・長期的リスク,外部照射
法が一定の期間を要する繰り返しの治療であること,および位置決めの再現性を
確保する必要があることについて周知させる。照射の開始時が非常に大切である
が,往々にしてこの時期には患者の認識・理解が追いつかない場合がある。患者
が動揺している場合,知識の欠如がある場合にはできるだけ時期をおき,必要な
情報を提供せねばならない。
治療計画は,最初から計画された時期に,あるいは腫瘍・患者の反応に従っ
て,全過程の途中で変更することがある。腫瘍の縮小,照射法の変更の必要性
(入射方向,固定から回転に,接合線変更,治療期間の延長・短縮の必要性など)
その他による。
放射線治療の行程で,医師は1,2,3,5,および10の過程に関与し,診療放
射線技師は4~10のすべてに,医学物理士は6,7,10に関与する。また,看護
師は主として1,4,9に関与することになる。それぞれの分野で専門認定された
職種者が役割を果たすことが推奨されている。また現場では,外照射装置を用い
た患者の毎回の治療(8,9)と,新規あるいは治療変更の患者の治療計画にかか
わる作業とは並行して行われることになる。
毎回の治療は,照射記録および診療録(カルテ)に記録される。
治療後の患者の評価も定期的に行って,腫瘍の再発,治療による反応/合併症
の早期発見と対処に心掛けるべきである。
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