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喉 頭

喉 頭

1)喉頭正面像(吸気時・発声時)

■体 位

坐位で後頭部を受像面に付け,喉頭隆起部を受像面の中心に合わせ,矢状面を受像面に対し

垂直にする。
下顎下縁と外後頭隆起を結ぶ線を受像面に対して垂直にする。

吸気時と発声時の2枚を撮影する。

吸気時撮影は口を開けて息を大きく吸い込み,発声時は大きな声で「イー」と発声する。

■中心線

受像面に垂直の中心線で,喉頭隆起に入射する。

■X線像

吸気像は,甲状軟骨の内側に声帯,前庭ヒダが広がり,上方に梨状窩,喉頭前庭ともに空気

の陰性像として描出する。
発声像は,声帯が左右対称に接近し,声帯上方の喉頭ヒダは凸状に描出する。

発声時の梨状窩は吸気時に比べ拡大するが,喉頭前庭は縮小する。

〔診断・読影のポイント〕

喉頭撮影は,気管狭窄や異物(特に金属異物)の有無のチェックに有用である。ただし,気管・
気管支・下咽頭・食道異物としてよく問題になるPTP(press through package)は単純撮影
では確認しにくいので注意が必要である。また,側面からの撮影画像は,喉頭蓋炎に伴う喉頭蓋
や喉頭の浮腫の有無やその程度を確認するのにも適している。老齢者では頸椎の変形(変形性脊
椎症)によって嚥下障害や咽頭異物感が出現することがある(Forestier病)。頸椎の変形の診断
にも喉頭単純撮影は有用である。