血球検査4II 血球形態検査 275 i 好塩基性斑点(basophilic stippling)(図4—28a) 青色の斑点が赤血球全体に散在性にみられるものである.急性鉛中毒や悪性貧血,不安定性ヘモグロビン症,MDSでみられる.リボゾームとポリリソソームが凝集して生じたものと考えられる. ii Howell‒Jolly(ハウエル・ジョリー)小体(図4—28b) 直径約1μmの円形で濃紫色に染色されたものである.通常は1個,時に数個みられることもある.悪性貧血やMDS等の赤血球系の造血異常があるときや摘脾後にみられる.核の残存物と考えられる. iii Pappenheimer(パッペンハイマー)小体(図4—28c) 淡紫色に染まる小体で赤血球内に1~数個みられる.鉄芽球性貧血や不安定ヘモグロビン症等の溶血性貧血患者の摘脾後等でみられる.鉄の沈着により生じたもので,鉄染色をすると鉄顆粒が証明される. iv Heinz(ハインツ)小体 超生体染色で直径0.3~3μmの小体で赤血球辺縁に1~数個みられる.不安定ヘモグロビン症やサラセミアの一部でみられ,摘脾後では顕著にみられる.ヘモグロビンが酸化変性して沈殿したものと考えられている. v Cabot(カボット)環 赤血球内に丸い輪または8字形に白く抜けたり,逆に濃く染まってみられる.核分裂時■図4-28 赤血球封入体(a~f)とその他赤血球形態異常(g, h)a:好塩基性斑点b:Howell‒Jolly小体c:Pappenheimer小体d:三日熱マラリアe:四日熱マラリアf:熱帯熱マラリアg:赤血球凝集h:赤血球連銭形成
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